半沢直樹 アルルカンと道化師 


 2022.5.16      半沢のようなサラリーマンに憧れる 【半沢直樹 アルルカンと道化師】

                     
半沢直樹 アルルカンと道化師 /講談社/池井戸潤
評価:3.5
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■ヒトコト感想
半沢直樹シリーズ。「オレたちバブル入行組」の前日譚にあたる本作。まだ半沢は融資課長として下働きしていた時代に、いつもの倍返しをしている。ドラマでは描かれていない部分なのだが…。相変わらずサラリーマンにはうらやましくなるようなストーリー展開だ。嫌味で自分勝手な上司をやりこめる半沢。

いつものパターンではあるが、今回は、いつも以上に上司側の裏工作が弱いように感じた。すべての責任を半沢に押し付けるにせよ、もう少し自分たちで事実関係を調べてから裏工作をした方が良いのでは?と思わずにいられない。半沢が指摘したことは、基本中の基本のように思えてしまう。ずさんすぎる上司たちを半沢がぶった斬るいつものパターンではある。

■ストーリー
東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとにとある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版社・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とは――。

■感想
いつもの半沢節が全開だ。今回はある老舗出版社に融資が許可されず、代わりに大企業からの買収話がでてくる。なぜ魅力のない出版社を買収しようとするのか。買収後の巨大企業側のメリットが後半に明らかになる。

それまでに、融資が却下される流れが良い。上層部が買収を成功させるために半沢に様々な難癖をつけるのだが、すべてをクリアしてくる半沢。最後には、理由にならない難癖をつけている。半沢はいざとなったら上司である支店長であっても躊躇なく脅すのが良い。

買収事件以外にも、地元の企業とのお祭りに関する問題もある。支店長が出席しなかったことで問題になった案件を、すべて半沢のせいにしようとする上層部。それらを半沢の誠意ある行動で地元の企業の重鎮たちを動かし、銀行の査問委員会での大逆転へとつなげる。

半沢により逆転が最後の大どんでん返しへとつながっている。一瞬、半沢は上層部の策略により地方へと飛ばされることが確定したかと思いきや…。飛ばされるのはサラリーマンの宿命と割り切っている半沢がカッコよすぎる。

ありえないような策略を練る上層部の者たち。恐ろしいのが、ずさんな計画であっても、上層部のゴリ押しによってそれが通ってしまうパターンだ。現実にも起こりえるのかもしれない。半沢がどれだけ弁解したとしても、言い訳という言葉ですべてが無意味になる可能性すらある。

半沢は、必ず見せしめのために呼ばれた場所で大逆転している。相手の手の内を読み、その上を行くネタを用意しておく。倍返しという名言のとおりだが…。それが必ず上層部に響くかどうかは未知数だ。

相変わらずサラリーマンにとってはすっきるとする流れだ。



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