オレたちバブル入行組 


 2015.1.4      恐ろしいまでの執念深さ 【オレたちバブル入行組】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
大ヒットしたドラマ「半沢直樹」の原作。ドラマの熱さ以上に爽快感がある。上司や強い立場の者たちへの反抗がすさまじい。上司に限らず敵対する人物に対する反発がすごい。ドラマでの「倍返しだ!」という言葉はないが、恐ろしいまでの執念深さと、相手に仕返しをするモチベーションが強烈だ。半沢の立場が弱い状態であっても、必ず相手を負かしてやる、ということをその場で口にだす。

日本のサラリーマンにはないキャラクターのため、いかにもマンガ的に思えてしまう。例えマンガ的であっても、今までしいたげられた半沢が大逆転し、上司や敵対人物に対してこれ以上ないほどの報復をする場面は、強烈なカタルシスを感じることができる。

■ストーリー

大手銀行にバブル期に入行して、今は大阪西支店融資課長の半沢。支店長命令で無理に融資の承認を取り付けた会社が倒産した。すべての責任を押しつけようと暗躍する支店長。四面楚歌の半沢には債権回収しかない。夢多かりし新人時代は去り、気がつけば辛い中間管理職。そんな世代へエールを送る痛快エンターテインメント小説。

■感想
銀行の融資課をテーマとした作品。ドラマでおなじみだが、原作は別の魅力がある。半沢が上司のミスをすべて被らされることに怒りを覚え、反論する場面がある。まだ、この時点では何もわからず、通常業務でのミスのような流れだ。

普通のサラリーマンであれば、自分の責任はさておき上司のミスを追究するなんてことはしない。が、半沢は自分ひとりのミスではないと叫ぶ。このあたり、のちの展開で半沢の主張が正しいとわかるのだが、何も知らない状態での半沢の行動は、サラリーマンとしては行き過ぎているように感じてしまう。

半沢のキャラの強烈さがすべてだ。五億円損失の責任をすべて負わされ、逆境に立たされた状態であっても、検査官や上司にたてつく。必ず思い知らせてやる、と捨て台詞を吐く。そこまで言う銀行員は普通ではない。債権者を追いかける場面でも、半沢は希望を捨てることはない。

絶体絶命のピンチに追い込まれ、もう万策尽きたと思わせておきながら、最後の最後で逆転する。この爽快感がすばらしい。上司へのジワジワと追い詰めるような復讐方法から始まり、債権者をあざ笑うような行為を行う。やりすぎとすら思える展開が本作の魅力だろう。

上司を脅迫し出世する。そして、自分を追いつめた相手を土下座させる。とても主人公とは思えない復讐の数々だ。普通の主人公ならば、どこかで温情を見せるか、罪を憎んで人を憎まず的な優しさを見せるが、半沢にそれらはいっさいない。

相手を徹底的に痛めつける精神が、それまでの逆境から浮き上がるバネになるのだろう。半沢は、実は上昇志向もすさまじく、半沢の嫁もかなり気が強いキャラだ。強烈なカタルシスを感じることができるため、読み終わったあとはすさまじい余韻が残る。

シリーズ化されているので、読み続けるのだが、楽しみで仕方がない。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
*yahoo.co.jp