漁港の肉子ちゃん


 2023.3.29     原作より数倍感動する【漁港の肉子ちゃん】

                     
漁港の肉子ちゃん [ 大竹しのぶ ]
評価:3

■ヒトコト感想
原作はすでに読んでいる。原作よりも、より感動できる作りとなっている。特に肉子ちゃんのアニメ描写がすばらしい。おまぬけでバカでデブの肉子ちゃん。キクコとの母娘関係としては、キクコがやけに大人なために成り立っている。のちにキクコの出自が判明すると、キクコの大人な理由が何となくわかってくる。

小学生女子の人間関係やいじめ問題。そして、母親を同級生に見られるときの感情。なんだか、誰もが通る道をちょっと大げさに描いているような気がした。肉子ちゃんの底抜けに明るい雰囲気がアニメで良く表れている。間違いなく原作よりはアニメの方が感動できる。キクコと肉子ちゃんの関係は母親と娘が逆になるような場合もあるが、それが最高だ。

■ストーリー
母娘のふたり家族、肉子ちゃんとキクコ。食いしん坊で能天気な肉子ちゃんは、情にあつくて惚れっぽいから、すぐ男にだまされる。小学5年生、多感なお年頃のキクコは、そんな母のことが最近ちょっと恥ずかしい。共通点なし、漁港の船に住む母娘の秘密が明らかになるとき、ふたりに最高の奇跡が訪れる―。

■感想
冒頭から娘であるはずのキクコが母親のことを肉子ちゃんと呼ぶ。周りもみんな肉子ちゃんと呼んでいるから、それでよいのかもしれないが…。ふたりの関係性は最高だ。キクコは漁港の町に転校し、そこで小学生女子の権力争いに巻き込まれることになる。

序盤のキクコの状況は確かに複雑だ。ただ、誰も悪くないし、これが小学生の社会だということで納得できてしまう。キクコが悩んでいる時も、肉子ちゃんは常に食べ物をたべながら明るく元気に過ごす。この温度差が最高だ。

肉子ちゃんはアニメ化されたことによりパワーアップしている。自分の母親が肉子ちゃんだったら恥ずかしいと思ってしまうかもしれない。当の本人は周りの目などお構いなしに明るく好きなようにふるまう。娘の前で、好みの男を見かけて近寄っていくのはどうかと思うが…。

肉子ちゃんの明るさというのは、その後のキクコの出自のことを考えると妙に感動してしまう。キクコ自身も、肉子ちゃんのことを恥ずかしいと思うことが恥ずかしいことだと気づき始める。大人になった今でも、キクコの感情には共感してしまう。

肉子ちゃんは若いころにキャバクラで働いていた。そこの同僚で美しいみっちゃんという若い子がいた。みっちゃんと仲良くなり一緒に生活する肉子ちゃん。結局は、みっちゃんの子供がキクコであり、肉子ちゃんはキクコを育てている。

てっきり、みっちゃんは死んでいるものかと思ったのだが…。実は生きていた。ただ、キクコはそんなこと関係なしに肉子ちゃんを母親と思って一緒に生活する。ラストのふたりのやりとりは最高に感動する場面だ。肉子ちゃんの泣きながら会話する場面は強烈だ。

原作よりも数倍感動する作品だ。



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