不思議惑星キン・ザ・ザ≪デジタル・リマスター版≫ [ エヴゲーニー・レオン ]
評価:3
■ヒトコト感想
非常に奇妙で特殊ではあるが、妙な魅力がある。内容的にはソ連の男二人が謎の空間転移装置により別の惑星に移動してしまう物語だ。そこから地球に帰るために奮闘する。砂漠の惑星ブリュクではマッチが貴重品であり、人種により階級が決まる不思議な惑星だった。くらいの高い者には独特なポーズで「クー」と挨拶をする必要がある。
地球へ戻るための加速器を手に入れるために、現地人と共に奮闘する。マシコフとゲデバンの二人がマッチをうまく使いながら加速器を手に入れようとするのだが…。現地人たちは狡猾でふたりをだましたりもする。マシコフの下手なバイオリンと歌が現地人たちから大絶賛されたり、いつの間にか現地人と強い友情が生まれたりもする奇妙な作品だ。
■ストーリー
旧ソ連が製作した、摩訶不思議なSFコメディ映画。自分は宇宙人と名乗る裸足の男が持っていた空間転移装置によって、キン・ザ・ザ星雲のキテレツな砂漠の星ブリュクへとワープさせられてしまった建築技師と学生が、何とかして地球に戻ろうと悪戦苦闘するさまをのんびりと描いていく。
■感想
1986年の作品ではあるが、妙な不思議さがある。突然砂漠のど真ん中に転送され、気が付くと、遠くから円柱形の宇宙船が下りてくる。現地人たちの風貌はそのまま「マッドマックス」に出てきそうなキャラばかり。にもかかわらずかなりの技術的なレベルは高い。
アナログ的ではあるが、加速器を手に入れると瞬時に地球へ移動できるなど、信じられない技術力となっている。宇宙船の中は純粋にぼろ家のようにしか見えない。ボロボロの服を着てアルミのコップで蛇口から水を出して飲む。そこだけはただのみすぼらしい浮浪者にしか見えない。
技術力の高さと現地人たちの風貌が合ってないのが一番の違和感だろう。宇宙船は妙な未来感はあるが、そこから下りてくる者たちはボロボロの服を着たマッドマックスの雑魚キャラの風貌をしている。話す言葉も原始的でマシコフたちの方がよっぽど未来人のように見える。
マッチを見て大喜びし、ゲデバンのネクタイを珍しそうに見る。まんま、文明の劣る原始的な住民たちの場に、現代の者たちがやってきたというような感じだ。かと思えば、位の高い者が持つ武器は一瞬で鉄柱をまっぷたつにする力を持っていたりする。
何度か地球に帰るチャンスがあるが、マシコフは協力してくれた現地人たちに地球のマッチを渡すために断ってしまう。アルファ星に来た際には、現地人たちは野蛮だからと全員がサボテンにされてしまう。マシコフたちだけは地球に戻れることになるのだが…。
それも断り、過去に戻りもう一度現地人たちを助けて皆が助かる方法を試行錯誤する。この男気溢れる行動の数々が、本作を素晴らしいものにしている。これがなければ野蛮な惑星に迷いこんだ人類ということで終わってしまう。
見終わると妙にさわやかな気持ちになる。