ドロステのはてで僕ら


 2022.10.8     2分先が見えるモニターと2分前が見えるモニター【ドロステのはてで僕ら】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
2分後の世界がモニターの先に見えるという変わった物語。脚本が海外でかなり評価されている。2分後の未来が見えるだけでなく、1階には過去に繋がるモニターがある。この微妙な時差が良い味をだしている。ドロステ効果を利用し、遥か未来を見るという案も面白い。2分先が見えている人がいるので、その時点では何をやっているのかわからないが、2分後にはわかるというのが最高だ。

ただ、終始気になったのは未来が見えるモニターの電源コードがずっと繋がっているということだ。部屋を出て上階へモニターを持って向かう際にも足下に電源コードが這っている。バッテリー式ではNGだったのだろうか。。。複雑なようでありシンプル。無名な俳優たちが出演し「サマータイムマシンブルース」的な面白さがある作品だ。

■ストーリー
とある雑居ビルの2階。カトウがギターを弾こうとしていると、テレビの中から声がする。見ると、画面には自分の顔。しかもこちらに向かって話しかけている。「オレは、未来のオレ。2分後のオレ」。どうやらカトウのいる2階の部屋と1階のカフェが、2分の時差で繋がっているらしい。“タイムテレビ”の存在を知り、テレビとテレビを向かい合わせて、もっと先の未来を知ろうと躍起になるカフェの常連たち。さらに隣人の理容師メグミや5階に事務所を構えるヤミ金業者、カフェに訪れた謎の2人組も巻き込み、「時間的ハウリング」は加速度的に事態をややこしくしていく......。襲いかかる未来、抗えない整合性。ドロステのはてで僕らは。

■感想
ドロステ効果というのは、合わせ鏡をして入れ子になり何枚も奥に鏡が見える状態のことを言うらしい。2分未来が写るモニターと2分過去が写るモニターを合わせることにより、2分、4分、6分先とはるか先までが見える。

そもそも2分先だけが見えるモニターがあっても役に立たない。最低でも1時間程度未来が見えないと。。。仮に1時間先が見えたとしたら競馬で必ず当たる馬券に大金を賭けるという手段があるだろう。カフェと住居という二か所で未来と過去が繋がっている。様々な人々が入り込み複雑化していく。

ある意味、2分先の未来に縛られている感じだ。2分先の自分たちと同じ行動をとらないと、過去の自分たちに同じことが伝えられない。その最たるものが、隣の美容室の娘をライブに誘う下りで、未来で成功したということを知り、実行するのだが…。

実際には断られた。ただ、そのことを過去に伝えるのではなく、2分後の未来と同じように成功した、と言ってしまう。ちょっとした未来が見えることで何が起きるのか。数分先にヤクザに連れていかれる場面がでてくると、恐怖しかない。

秀逸なのはヤクザの事務所に向かう場面だ。体の前に過去のモニターを持つ。こうすることで今から起きることを過去に伝え、その対策を事前に知ることができる。素晴らしいのは本人はその未来の映像を見ずにヤクザの事務所に向かう。残された者たちが未来からの映像を見て、何が必要かを主人公を追いかけて渡したりする。

本人は何が起きるのかわからないが、ケチャップやシンバルを渡され、訳がわからずに事務所に向かうが、見事にそれらのモノが役に立つ。

脚本がすばらしく、カメラワークもすばらしい。



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