ダイヤモンドの原石たちへ 湊かなえ作家15周年記念本 (集英社文庫(日本)) [ 湊かなえ ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
湊かなえがあこがれの人と行った対談やインタビューなどが収録された本作。全国各地の書店でサイン会を行ったことや、作者の全作品の紹介などもある。湊かなえファンならば外せない作品だろう。全国47都道府県を訪れていることに驚いた。各地の一言感想などもある。高校生の作品に対するコメントや書き下ろしの短編小説もある。
作品の傾向からすると、気難しい作者という印象があったのだが…。子育てと作家活動に加え、脚本家としての仕事をしていたことに驚いた。嫌ミスといわれ、読後感が良くない作品が多い作者。「告白」の衝撃的な展開を超える作品は、いまだに生み出されていないような気がするのだが…。作者の新たな一面が知れる作品だ。
■ストーリー
『告白』で衝撃的なデビューを飾って以来、第一線を走り続けた15年を改めて振り返る。デビュー作から各誌で著者インタビューを続けてきたタカザワケンジ氏が密着取材。憧れのひととの対談、全小説27作紹介、著者へのロングインタビュー、そして待望の書き下ろし小説を含む短編小説2編を収録した充実の一冊。「●●県とわたし」と題して、全国47都道府県の書店サイン会で特別に配布された、湊さんお手製のアナログブログも収録。
あなたの出身県と湊さんのかかわりは?未来の小説家に対する眼差しまでを完全レポートの形でお届けする。大人気作家はどのように生まれ、走り続けたのか。湊かなえファンも、これからその面白さを体験する読者も必読!
■感想
「ベルサイユの薔薇」の作者との対談が冒頭にある。湊かなえがファンだということで実現したのだが…。驚きなのはベル薔薇の作者だ。漫画家として成功したあとに声楽家として成功している。ひとつの才能では終わらない、常人では考えられないバイタリティがあるのだろう。
湊かなえ自身も小説家の前に脚本家としてデビューしている。漫画家と声楽家ほどの違いはない。全く別の分野で新たに成功するというのは、生半可な努力ではきかないのだろう。
作者はファンを大事にするということで、全国でサイン会を開いたようだ。普通では訪れない田舎にも行っている。ファンが集まるかの心配をするのは編集者として当然だろう。ただ、やはり「告白」が大ヒットした作者だけに全国にファンがおり、大盛況だったようだ。
作者の全国各地の感想は、ちょっとしたことだが、自分の出身県について何て書かれているのかが気になるのは当然のことだ。全国各地をくまなく回るのはそれを調整した編集者が大変だったのだろう。様々なトラブルが起きたというのも描かれている。
書き下ろしの短編小説もある。割と作者の作品は登場人物が辛辣というか、作者本人を主人公にしたような流れの作品がある。売れっ子作家として作品を書きながら、日々の生活を続ける。いきなりデビュー作がヒットしたことで、仕事の依頼が多数舞い込んでくる。
それらをすべてやりきることができるのか。精神的に疲弊する状態が続いており、周りに対して当たり散らしたりもする。表にはでない、売れっ子小説家の苦悩というのを感じずにはいられない短編だ。
作者のファンならば読んでおくべき作品だろう。