ブレイク 


 2024.7.19      地熱発電の実現性は? 【ブレイク】


                     
ブレイク[ 真山仁 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
「マグマ」は東日本大震災が発生する前に、まるで原発が停止されることを予言したように地熱発電へと舵を切る物語であった。その正当な続編として本作は描かれているのだが…。あまり大きな変化はない。大震災が発生し原発再起動のハードルが上がる。となると何で電力を確保するのか。二酸化炭素の輩出制限がある中で、火力発電は増やせない。となると…。

地熱発電は確かに日本に向いているのかもしれない。ただ、本作を読んで思ったのはとんでもなくハードルが高いということだ。まるで温泉を掘るように当たりはずれがある。そして、掘り当てたとしても、そこまで大きな電力を生み出すことができないとなると…。将来的にどうなるのかわからないが、ハードルの高さを感じた。

■ストーリー
震災や環境保護の影響で脱原発、脱炭素が叫ばれ、代替エネルギーの開発競争が熾烈を極める現代。地熱発電推進派の切り札として、宮城県で巨大な「蔵王復興地熱発電所」の開発が進められていた。人気の若手衆院議員・仁科良一の見守る中、ついに巨大な熱水層が掘り当てられる。仁科は、かつて日本最大の地熱発電所を手がけた開発業者のトップ安藤幸二と共に期待に胸を膨らませるが、熱水層はすぐに枯れ、蔵王の地熱発電は暗礁に乗り上げてしまう。

実は開発前の調査データの改ざんがあったというのだ。誰が何の目的で改ざんを行ったのか? 巨大なエネルギー利権をめぐって政財界の謀略と駆け引きが過熱する中、不可能と言われる夢の発電方式「超臨界地熱発電」が実現に向けて動き出す。エネルギー問題が最も注目される今、「予言の書」と言われた名作『マグマ』の正統なる後継作がついに登場!

■感想
地熱発電は現実的にどの程度研究されており、日本ではどこまですすんでいるのか。前作の「マグマ」では、まさかの予言の書的な流れとなっていた。そして、未来の電力として地熱発電は有望ではないかと読んだ当時は思ったのだが…。

盛んに電力の問題や二酸化炭素排出量の問題、海外から石油の輸入などの問題があるにも関わらず地熱発電は世間で話題になっていない。ということは何かと大きなハードルがあるのだろう。本作を読むとそのハードルの高さがなんとなくわかった気がした。

作品の中ではやはり政治的な動きがメインとして描かれている。政府のお墨付きが必要。ただ、それは政権が変わると、途端に反故にされる危険性がある。地熱発電がどれだけ有望かということが、かなりアピールされている。

風力発電や太陽光発電と比べて常に安定した電力を確保できるということで良いことづくめのような気がした。唯一のハードルとして国立公園だとか場所の問題があるらしいのだが…。本当に夢のようなエネルギーであればすぐさま実現に動いてよいように思えるのだが…。

現実的には原子力村の利権なども絡んでいるのかもしれない。あとは知名度の問題か。本作では知名度を上げるために地熱応援アイドルなんてのも登場してくる。もしかしたら、本作の内容は作者が考えた地熱発電を実現するための手伝いなのかもしれない。

素人考えとしては、深い穴を掘って何か地球に影響があるのでは?と思ってしまった。地熱発電がこれからどのように進化していくのか。地熱発電のニュースがでたとしたら間違いなく気になってしまうだろう。

リアル感はある。



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