ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ


 2022.12.21     密入国ビジネスを破壊せよ【ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ】

                     
ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ/ベニチオ・デル・トロ
評価:3.5

■ヒトコト感想
「ボーダーライン」の続編にあたる本作。独特の雰囲気と有無を言わさぬ冷徹さがすさまじい本作。テロの元となる密入国ビジネスを減らすため、メキシコの麻薬カルテルのボスの娘を誘拐しようと考える。CIAが非合法の活動を行うのは、もはや定番と化している。CIAのマットと暗殺者のアレハンドロが任務にあたる。マットたちのプロフェッショナル感はすさまじく、さらにはCIAと軍隊の最新システムを利用しているので、メキシコで何が起きているかを常に人工衛星で監視している。

娘を誘拐する瞬間やその後に何が起きているのか。さらには、映像に写り込んだ者が通話していると、その通話相手が誰かまでも調査できる。もはやアメリカに狙われると逃げることはできないのだろう。

■ストーリー
アメリカ国内で市民15人の命が奪われる自爆テロが発生。犯人らがメキシコ経由で不法入国したとにらんだ政府は、国境地帯で密入国ビジネスを仕切る麻薬カルテルを混乱に陥れるという任務を、CIA特別捜査官マット・グレイヴァー(ジョシュ・ブローリン)に命じる。それを受けてマットは、カルテルに家族を殺された過去を持つ旧知の暗殺者アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)に協力を要請。麻薬王の娘イサベルを誘拐し、カルテル同士の戦争を誘発しようと企てる。

しかし、その極秘作戦は敵の奇襲や米政府の無慈悲な方針変更によって想定外の事態を招き、メキシコの地で孤立を余儀なくされたアレハンドロは、兵士としての任務、復讐、そして人質として保護する少女の命の狭間で、過酷なジレンマに直面することになる……。

■感想
序盤の自爆テロの場面は強烈だ。アメリカでは日々、自爆テロに怯える環境にある。自爆テロの元凶となっているのが密入国ビジネスということで、それを防ぐための活動を政府が行う。そもそも、なぜ麻薬カルテルがアメリカのテロを誘発するような活動をするかというと、911の時にはアヘンが高騰したので、それを再び求めているらしい。

マットの計画としては麻薬カルテル同士を争わせるため、娘を誘拐しそれを別のカルテルの仕業と思わせようとした。

マットが連れてきたアレハンドロは過去にメキシコのカルテルに家族を殺されたらしい。その復讐のためにより激しく戦うことになる。マットの仲間たちのプロフェッショナル具合がすさまじい。

あざやかに娘を誘拐し、その後連れ去っている。たくみに偽装するのは当然として、先の先まで考えている。メキシコ国内にいたとしても、常に衛星で監視されており、敵が近づいているのを察知するのも早い。カルテルとの闘いもまた衝撃的だ。メキシコ警察すらカルテルの仲間なので、警察たちを皆殺しにする必要がある。

ラストでは娘を連れ去られたりとあるのだが、ボロボロのアレハンドロが強烈なインパクトがある。カルテルに捕らえられ、袋をかぶせられて頭を撃たれる。衛星で監視していたマットはアレハンドロが死んだと思い込んだのだが…。実は頬を貫通しただけで助かったというオチだ。

カルテルとの激しい対決というよりは、娘を口封じで殺すかどうかの内部的な駆け引きもある。メキシコはもはやカルテルに支配されているということなのだろう。メキシコ警察との対決は対外的には影響が大きいようだ。

このシリーズは全体を通して陰鬱さに包まれている。



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