ブラック・ボックス


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 2022.12.11     頭の中に知らない記憶が入り込む【ブラック・ボックス】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
記憶を失ったシングルファーザーが、記憶を取り戻すために実験的な治療を受けたのだが…。序盤から記憶をなくすことが頻繁にある男。人の記憶を操作する系の物語だ。記憶を取り戻すための実験の中で、自分の経験にない映像を見る。見知らぬ結婚式。新婦の顔がぼやけて見えない。知らないアパートの中で知らない妻と知らない子供がいる。

自分の記憶にない映像に戸惑う男。このあたりで、なんとなく展開が予想できてしまうのだが…。男を治療した研究者の息子の脳波が移植されていた。知らない記憶はその男のものだった。本人と記憶の男との頭の中での主導権の握りあいが面白い。また、死んだ男の妻に違う体で会いに行く流れも定番であるが良い。

■ストーリー
交通事故で妻を亡くし、自らも記憶を失ったシングルファーザーが、実験的な治療を受けたことがきっかけで、本当の自分とは何かという問いに目覚める。

■感想
序盤は記憶を失った男の生活が描かれている。小学生の娘に助けてもらいながら日々暮す。たまに娘を迎えにいくのを忘れてしまったりもする。伏線として、それまで芸術的な写真家としての仕事ができていたが、記憶をなくすようになりうまく写真が撮れなくなる。

ここから、実験的な治療にチャレンジしようとするのだが…。自分の隠された記憶を掘り起こすことで、記憶を失うことを防ぐという流れのようだが…。男は実験で記憶にない映像を見ることになる。謎の男が登場し、「リング」の貞子のような奇妙な動きをしてくるのが印象的だ。

記憶の内部ではホラーの要素が強い。知らない映像が流れ困惑する男。そして、必ず謎の男が関節を逆に動かすような奇妙な動きで迫ってくる。ここが記憶の取り合いなのだろう。医者が死んだ息子の記憶を男に移植していた。

流れとしては医者の息子が記憶を取り戻し、別の男の身体で妻子に合いに行くという展開がある。記憶の奪い合いで勝利した男は、妻と子供とふたたび生活することを願うのだが…。ここで記憶の中で知らない映像はすべて記憶を移植された男のものだと判明する。

ラストでは記憶の取り合いとなる。医者の息子は結局は妻や子供から受け入れられないと気づき、自ら引くことになる。実は自分が死んだのは妻に階段から突き落とされたからという事実を知るのはショッキングすぎるだろう。対して体の持ち主の男は、娘に慕われており戻ってくることを願われている。

この違いに気づくのは強烈だ。別人として過ごすことはできない。だとすると、記憶としては引くしかない。割と定番的な流れではあるが、記憶の取り合いというのが新しい。

記憶を探る流れが秀逸だ。



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