悪の処世術 


 2022.10.30      独裁者たちの思い 【悪の処世術】

                     
悪の処世術[ 佐藤優 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
世界の独裁者について語っている。ヒトラーなどの有名な独裁者についてはなんとなくわかるが、アルバニアの独裁者などは世間的にはレアだろう。独裁者がいた方が国が安定したパターンもある。プーチンや金日成、金正恩などのわかりやすい独裁者もいれば、トランプも本作では独裁者扱いされている。民主主義のアメリカの大統領もある意味独裁者なのだろう。

日本では絶対にありえない展開だ。自己保身でアメリカにすり寄ったが、そこから政権が崩壊し殺された独裁者もいる。リビアの独裁者やシリアの独裁者など、世間的には悪とされてはいるのだが…。その当事者たちの国民からすると、良い指導者なのかもしれない。独裁者の評価はもしかしたら何十年もあとになって決まってくるのかもしれない。

■ストーリー
プーチン、習近平、トランプ、ヒトラー、スターリン……権謀術数が蠢く政治の世界で、「悪」と謗られる男たちがなぜ権力を掌握することができたのか。佐藤優が読み解く、独裁者たちの素顔と人間力の神髄!

■感想
プーチンがウクライナへ侵攻したニュースを見ると、独裁者として極まっていると感じた。本作が書かれた段階では、まだウクライナへの進行前なのだが、すでにロシアがウクライナへちょっかいをかけていることについて描かれている。

プーチンは義理堅いらしい。ただ、ニュースなどを見ると、それまで重用していた仲間がウクライナ侵攻へ反対したからと首をきったりもする。血も涙もない男というのはメディアが作り上げた虚像なのかもしれない。

金日成と金正恩のどちらも描かれている。それぞれの違いが明確になってよい。金日成が真に国民のためを思って行動していたというのがよくわかる。ただ、それが的外れなので効果を示さなかっただけだろう。

国民に腹いっぱい米と肉汁を食べさせたいという思いから、ガチョウを国民に配ったり。それと比べると金正恩はアメリカに対して駆け引きを繰り返し、自分たちの地位の安泰を求めている。強烈なインパクトがあるのは間違いないが、祖父と孫、それぞれで異なるのが強烈だ。

過去の独裁者だけでなく、今まさに独裁者として強権をふるっている者も描かれている。シリアのアサドはまさに危険な状態でありながら独裁者として生存し続けている。リビアのカダフィのように欧米の誘惑に負け欧米にすり寄るとたちまち弱体化していくのだろうか。

習近平についても、すでに中国は共産主義とはいえないが、それでもかたくなに共産主義を貫こうとする。ヒトラーほど強烈な独裁者というイメージはないのだが、本作を読むと実は独裁者だったというのがわかる。

一方的に悪だと断罪することはできないのだろう。



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