悪魔には悪魔を 


 2022.4.2      双子の兄の代わりに弟が潜入捜査官となる 【悪魔には悪魔を】

                     
悪魔には悪魔を [ 大沢在昌 ]
評価:3
大沢在昌おすすめランキング
■ヒトコト感想
双子の兄弟が麻薬取締官として潜入捜査を行っていた。行方不明の兄の代わりに弟が潜入捜査員となる。かなり無理がある設定だが、弟である将は、頭を殴られて記憶喪失になったということで関係者と会話し情報を得ている。結局は将が少しづつ情報を集めながら、兄である良が殺されたのかを調査することになる。麻薬を仕入れている大元のベトナム人組織クィーの黒幕は誰なのか。同じ警察組織に裏切り者がいる可能性もある。

良の恋人ですら将のことを良と思い込んでいる。殴られて記憶喪失というのが通じるのは少し苦しい状況だ。麻薬を売買する組織の中枢の人間としては、かなりガードが緩いような気がしてならない。ラストではすべてが明らかとなるのだが…。想定と違った流れだ。

■ストーリー
二度と後戻りできない 絶体絶命潜入捜査!麻薬取締官の加納良が姿を消した。20年ぶりに故郷に戻った双子の弟・将は捜査協力を求められ、兄になりすまし、ひとり凶悪な密売組織に挑む。男を待ち受ける〈悪〉の正体――驚愕、震撼、衝撃の結末!息つく間もないエンターテインメント巨編。

■感想
アメリカで傭兵として生活していた将が日本に帰ってくると、良の上司である男から潜入捜査を依頼される。そもそも良と将の関係は希薄で相手が何をしていたかをお互いが理解していない。良のことを心配した将が渋々潜入捜査官として良のふりをすることになる。

いくらなんでも無理があると思わたのだが…。何者かに襲撃を受けて頭に傷を負い記憶喪失になった、で物語として成り立たせている。入院していたから連絡がとれなかった。携帯も壊れて新しいのにした。すべてが良と将が同じ顔をしているから通じる嘘だろう。

将が潜入捜査官として立ち回る中では、チンピラが絡んできたりもする。そこではアメリカの傭兵であった将がチンピラたちを圧倒している。いつもの作者のハードボイルド風味が全開である。そこからベトナムの謎の組織に警察の上層部が関わっていると判明してくる。

誰が良の正体を認識していたのか。もし、良を殺した人物がいたら、将を見たら間違いなく驚くだろう。殺すのにしくじったと思い込み、再び将が狙われる恐れもある。危険に満ちた潜入捜査であることは間違いない。

良は生きていた。精神病院で薬漬けにされ、監禁されていた。そこに将が助けに入る。ある程度将の正体を知る者たちの協力があり、良を助けることに成功する。本作では筋肉隆々の女麻薬捜査官や、赤鬼青鬼という地元警察なども登場し、警察組織での裏切り者は誰か?というミステリアスな部分がある。

定番としては将を事件に引き込んだ良の上司が怪しいと思っていたのだが…。物語としては割とありきたりなハードボイルドとなっているのは間違いない。

作者の得意なハードボイルドだ。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
*yahoo.co.jp