ゼロ・ダーク・サーティ


 2018.10.10      暗殺までの淡々とした流れがリアルだ 【ゼロ・ダーク・サーティ】

                     
ゼロ・ダーク・サーティ スペシャル・プライス 【Blu-ray】 [ ジェシカ・チャステイン ]
評価:3.5

■ヒトコト感想
ビンラディン暗殺を描いたノンフィクション作品。同じくビンラディン暗殺を描いた「ネイビーシールズ チーム6」とは異なった構成だ。本作ではCIAの職員マヤがどのようにしてビンラディンを見つけ出したかと、紆余曲折ありながらビンラディン暗殺を成功させるまでが描かれている。本作が実話ということに驚かずにはいられない。

ネイビーシールズでは、ある程度映画的な演出があった。本作ではパキスタンでの任務の過酷さが描かれており、アメリカ国内の世論に翻弄されたり、CIAの上司の考え方の違いに困惑したりと様々な障害がある。それらすべてにマヤは毅然とした態度でのぞむ。最終的には、どこにそこまでの自信があるのかと思わせるほどの勢いで作戦を進言している。

■ストーリー
史上最も過酷な作戦に投入された、20代の女性マヤ。ビンラディン搜索に全てを捧げた彼女の、想像を絶する想いとは―。華奢で青白く澄んだ瞳が印象的な20代半ばの女性、マヤ。とてもCIA分析官には見えないが、情報収集と分析に天才的な感覚を持ち、ビンラディン捜索に巨額の予算をつぎ込みながら、一向に手掛かりをつかめない捜索チームに抜擢された。

捜査は困難を極め、その間にも世界中で、アルカイダのテロにより多くの血が流されていた。ある日、仕事への情熱で結ばれていた同僚が、自爆テロに巻き込まれて死んでしまう。その時、マヤの中の何かが一線を超える。もはや使命ではなく狂気をはらんだ執念で、ターゲットの居場所を絞り込んでいくマヤ。ついにマヤは隠れ家を発見するのだが、彼女が断言する確率100%に同意する者はいない。果たして、上層部及び国家が下した決断とは?

■感想
テロの脅威にされされた欧米はビンラディン探しに躍起になる。CIAの女分析官のマヤが、タリバンの捕虜に対して拷問を実行してまでも情報を得ようとする。捜査は難航を極める。そして、マヤが女ということで困難もある。マヤの執念はすさまじい。

そこまでの執念を燃やす何かがあるのだろう。上司たちがどれだけ否定したとしても、マヤは自分の考えを曲げることはない。上司に対して何もしないリスクを激高しながら語る場面は、絶対に部下にもちたくないタイプの女性だと感じた。

ビンラディンを探し出すためにあらゆる手を尽くす。7年前の情報を頼りに、ひたすら調べ続ける。合間には、同僚が自爆テロの犠牲となるなど、非常に困難な状況となる。これらがすべて実話ということには、驚かずにはいられない。

テロを企てる小物を探し出すことよりも、親玉であるビンラディンを探しだそうとする。兵士たちに絶対的な自信をみせ、ビンラディンは必ずいると説得する。ここまで自信満々な態度を見せられると、兵士たちは従わざるお得ないだろう。

ネイビーシールズが、ビンラディン暗殺までをドラマチックに描いていたが、本作は逆に淡々とした印象がある。そこまでの過程が大事なのだろう。マヤが見守る中で、ヘリのひとつが墜落したり、敵のアジトには予想外に女と子供が多くいたり。

余韻のようなものはひとつもなく、兵士がビンラディンを暗殺し、その死体をマヤが確認したというだけだ。ラストでマヤが飛行機の中で涙する場面があるのだが、この涙はどういった感情で出た涙なのだろうか。

実話を元にした作品独特の迫力に満ちている。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp