夜明け告げるルーのうた


 2019.5.8      独特な絵柄が独特な雰囲気を生み出す【夜明け告げるルーのうた】

                     
夜明け告げるルーのうた
評価:2.5

■ヒトコト感想
絵柄やテーマの雰囲気からして「崖の上のポニョ」を思い出した。監督もポニョとあえて差別化ができるように、人魚のルーに気を使ったらしい。漁港の町でカイが仲間と共にバンドを組む。そこで人魚のルーと知り合い、その後ルーが話題となってしまう。yutube的なものや、SNSがフル活用されている。ルーが話題となったのもyutubeの映像からとなっている。昔から人魚に対して何かと問題のある町なので、人魚に対して怒りの気持ちがある。

人魚に噛まれてしまうと人魚になる。人魚は日光に当たるとヤケドしてしまう。独特な絵柄が雰囲気抜群だ。それ以外には津波を印象つけるような流れもある。そして、その先では人魚が町の人々を助けたりする感動もある。

■ストーリー
寂れた漁港の町・日無町(ひなしちょう)に住む中学生の少年・カイは、父親と日傘職人の祖父との3人で暮らしている。もともとは東京に住んでいたが、両親の離婚によって父と母の故郷である日無町に居を移したのだ。父や母に対する複雑な想いを口にできず、鬱屈した気持ちを抱えたまま学校生活にも後ろ向きのカイ。唯一の心の拠り所は、自ら作曲した音楽をネットにアップすることだった。

ある日、クラスメイトの国夫と遊歩に、彼らが組んでいるバンド「セイレーン」に入らないかと誘われる。しぶしぶ練習場所である人魚島に行くと、人魚の少女・ルーが3人の前に現れた。楽しそうに歌い、無邪気に踊るルー。カイは、そんなルーと日々行動を共にすることで、少しずつ自分の気持ちを口に出せるようになっていく。しかし、古来より日無町では、人魚は災いをもたらす存在。ふとしたことから、ルーと町の住人たちとの間に大きな溝が生まれてしまう。そして訪れる町の危機。カイは心からの叫びで町を救うことができるのだろうか?

■感想
カイは友達とバンド「セイレーン」を組む。練習場所の人魚島で、人魚のルーと出会う。ルーは自由奔放ですばらしい歌声をもっている。バンドの演奏の際には、必ずルーが歌声を披露する。いつしかそのことが話題となるのだが…。話題のきっかけや、ルーが人魚だとバレるのはすべてyutubeの映像だ。

人魚が話題になると、人魚に対する恨みから排除しようと考える者や、人魚を町おこしに利用しようとする者まで様々だ。人魚は純粋にただカイたちのために歌声を披露している。

人魚が噛みつくと相手は人魚になってしまう。町の人の中には大事な人を人魚に噛まれ失った人がいる。カイの祖父は幼いころに母親が人魚になっている。そんな思いがある人は、人魚に対しては恨みしかない。

人魚たちが町の人々を助けるために動き出しても、夫が人魚になったおばあさんは怒りの気持ちを高ぶらせる。おぼれ死ぬべきか、それとも人魚になるべきか。みな、それぞれには、やむを得ない理由がある。それに気づくことはできない。強烈なインパクトのある流れだ。

ラストは、町全体に海の水が押し寄せる。最初は徐々にだったのが一気に浸水が激しくなる。それはまるで津波のようでもある。そんな町のピンチに人魚たちが自らの力を使い助けてくれる。

ポニョとは違ったベクトルの作品だ。絵柄的にも独特な雰囲気があるのは間違いない。そして、その先ではちょっとしたインパクトのある結末がまっている。バンド仲間たちとの関係や、お決まりどおりに人魚が諸悪の根源というパターンもある。ポニョよりも大人向けの作品だ。

独特の絵柄に目が釘付けになる。



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