2020.5.27 悪徳芸プロに食いものにされる者たち【闇金ドッグス3】
闇金ドッグス3 [ 山田裕貴 ]
評価:3
■ヒトコト感想
闇金がテーマとなる本作。シリーズ化されてはいるが、今まで見たことはなかった。元ホストの須藤が女性専用の闇金を社長の安藤と共に作りあげる。本作では悪徳芸能プロダクションを軸に悪徳芸プロに食い物にされる者たちが描かれている。須藤も顧客の元アイドル・えりなを育て上げ大儲けしようと考えていたのだが…。
もしかしたら現実にも本作のような悪徳芸プロが存在するのかもしれない。売れっ子子役となり、CMの仕事をバンバンこなしているが、母親には数万しかギャラが渡されない。そればかりかレッスン料や衣装代として金をとられる。えりなに関しては法外な契約解除料金を課し、えりなは毎月支払うためにネットカフェに寝泊まりしたりもする。とんでもない芸プロだ。
■ストーリー
元・中途半端なイケメンホストの須藤司(青木玄徳)は、ラストファイナンスの社長・安藤忠臣に雇われている。女の扱いには絶大な自身を持つ須藤は、ウィーメンダイヤルという女性専用の金融システムを作り、男の武器を駆使しながら、次々に女の債務者を増やしている。そこに現れえたのは、元アイドルのえりな(冨手麻妙)。夢を諦めきれず、路上ライブでひっそりと活動を続けている。
須藤のもう一人の債務者である聖子は、ステージママ。自分の子供をプロダクションに所属させ、成功を収めるまで、負債を続けながら、生活をしている。聖子の子供が大きなCMに決まるなど、売れっ子になってきたのにも関わらず、ギャラが上がらず、帰ってレッスン料などを事務所に取られてしまう。事情を須藤に説明すると、明らかにそこは悪徳プロダクションだったと分かる。その社長である沢村(津田寛治)は、以前にえりなを陥れた極悪人だという事が分かり。。。
■感想
金に苦しむ者。相手を騙して搾取する者。それぞれの人間模様が描かれている。主役はラストファイナンスの須藤ということになっているが、メインは個々の人物だ。元アイドルのえりなは、悪徳芸プロから抜けるかわりに法外な借金を背負わされる。
元アイドルとして固定のオタクファインはいるが、えりなはあくまでミュージシャンとして頑張りたい。そんなえりなは須藤に出資を持ち掛け、ライブ開催にまでこぎつけるのだが、ここでも悪徳芸プロの社長が登場しえりなをフェスに参加させないよう裏で手をまわす。これこそまさに芸能界のしきたりなのだろう。
悪徳芸プロに最も食い物にされているのが子役の母親だ。レッスン料や衣装代を払い続けやっとCMの仕事がとれたかと思ったが、ギャラは数万。数百万を子役が稼いだとしても、ほぼすべてを芸プロにとられてしまう。子役をタレントとして育て上げた社員すら、あまりのぼったくりぶりに社長へ意見することになる。
この芸プロの社長はかなり憎たらしい。さも当たり前のように母親から金を請求する。母親はラストファイナンスで借金してまで金を払っているのだが…。社長は自分の家族と仲良く電話をしているシーンは吐き気がもよおしてくるほどだ。
えりかの件で、悪徳芸プロにくいものにされたと知った須藤は安藤に泣きつくことになる。芸プロは別のヤクザに目を付けられ、最終的には安藤に情報を握られ脅されたことですべてが崩壊する。観衆は悪徳芸プロが痛い目をみて爽快な気分になるだろう。もしかしたら現実に本作のような悪徳芸プロは当たり前に存在するのかもしれない。
表にでていないが泣き寝入りしているタレントの卵もいるのかもしれない。闇金ドッグスというタイトルがついてはいるが、「闇金ウシジマくん」とはまた違ったベクトルの作品だ。
食い物にされる人々はかなり強烈だ。
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