超高速!参勤交代リターンズ


 2018.3.15      参勤交代の要素は減 【超高速!参勤交代リターンズ】

                     
超高速!参勤交代 リターンズ 豪華版
評価:2.5

■ヒトコト感想
前作は参勤交代を無茶なスケジュールで実行することを面白おかしく描いていた。知恵を働かせ、少人数でさも大名行列のように見せる仕掛けなど。本作でもその流れは継続しているのだが、あくまで前半のみだ。後半では湯長谷藩が一揆を起こされたとして、柳生に領地を取られる危機を脱するために活動する。

藩主内藤が危機を感じとり、湯長谷藩に戻るために超高速参勤交代が再スタートする。この流れは前回と同様に面白い。ただ、後半では、内藤たち少人数で柳生たちに奇襲をかけるという流れとなっている。結局はただの戦国戦争モノのようになっている。このシリーズの売りである爽やかさというのは維持されており、内藤の爽やかな人柄も好感がもてる。

■ストーリー
江戸時代、老中・松平信祝の差し金により幕府から突然参勤交代を命じられた磐城国(現在の福島県いわき市)の湯長谷藩。金も人手も時間も無い中、知恵と工夫でなんとか江戸への参勤を果たすが、故郷へ帰る「交代」までが「参勤交代」。藩主の内藤政醇率いる一行は、湯長谷を目指し江戸を出発する。

あとは帰るだけ、と思ったのも束の間、その道中、湯長谷で一揆が起きたことを耳にする。政醇たちに打ち負かされた信祝が、さらに大きな権力と最強の刺客を手に入れ、湯長谷藩を壊滅させようと逆襲を始めたのだった。一揆を収めるためには、2日以内に藩に帰らなくてはならず、さらに「交代」には大名行列も必要になる。

彼らは行きの倍の速さで走り、宿役人の目を晦ましながら、命からがら湯長谷に辿り着くが、すでに城は乗っ取られ、田畑は踏み荒らされた後だった――。城を取り巻くおびただしい数の幕府軍、対する湯長谷藩はたったの7人。ふたたび絶対絶命に陥った湯長谷藩。果たして彼らは城を取り戻し、民を守ることができるのか――?

■感想
前作はいかにして早く参勤交代を行うかが描かれていた。金はないが知恵を出して苦難を乗り越える様が爽快だった。本作では、それらの爽快な状況はほとんどない。序盤で藩主内藤が急いで湯長谷藩へと引き返す時に、少ない人数でどのようにして大名行列に見せるかという、前作と同様のちょっと面白作戦を繰り広げている。

そこから湯長谷藩が乗っ取られたことを知ると、内藤率いる元湯長谷藩の面々は、ゲリラ的な戦いを繰り広げるしかない。タイトルは参勤交代だが、その要素はだいぶ少なくなっている。

前作の秀逸なキャラクターたちをうまく使い、新たな展開へとうつしている。内藤とその仲間たちは、個人個人の能力は高いが、貧乏侍のため、身なりはみすぼらしい。ボロボロの侍たちが、柳生の手練れたちと激しく戦っている。

知恵を使ってうまく参勤交代のスピードを上げることから、大量勢力である柳生たちにどう立ち向かうかがすべてだ。内藤の妻をも人質に捕られ、救出作戦を実行するなど、アクションの要素が増えている。ただ、全般としてはキャラクターがユーモアにあふれているので、シリアスな展開とはならない。

個性的な内藤の部下たちが、手練れぞろいの柳生たちと戦う。さらには、裏で手を引いていた真の悪人たちは、大岡裁きを受ける。典型的な勧善懲悪モノなので、最後はすっきりとした気分で見終わることができる。

さらには、藩主内藤がどんな苦難におちいろうとも爽やかさを失わず前向きにすすむのが良い。強敵と激しく戦いながら、妻に言い寄られ思いを口にする内藤。絶対絶命のピンチに直面したとしても、そのもちまえの爽やかさで事態を乗り切ってしまう。

続編ではあるが、参勤交代の面白さは半減している。



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