長期政権のあと 


 2022.2.15      歴代最長の政権の成果は 【長期政権のあと】

                     
長期政権のあと (祥伝社新書) [ 佐藤優 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
日本の総理大臣として歴代最長となった安倍政権。そのことを佐藤優と山口二郎が分析している。過去の政権の成果などを交えての分析なので、このあたりの知識がない自分にとってはかなり勉強になったのは間違いない。コロナ渦での政権運営なども描かれている。過去の政権でしっかりと成果を出した政権はいくつかしかない。本作を読んでいると、特に中曽根政権の評価が高いことがうかがい知れる。

政権の話から、貧困を解消するために、政府として何が必要かまで。歴史から読み解き、現在の成長が止まっている日本から、どのようにして成長していくかを想定している。身近なことで言うと、北欧の政策をまねて税金は高いが福祉が充実した社会を目指すようにと提言されている。

■ストーリー
憲政史上、最長となった安倍政権(首相在職日数は二〇二〇年七月三十一日時点で三一四一日)。なぜ、安倍政権は長期政権となったのか。そして、長期政権のあとにはどのような事態が出来するのか――。権力の生理を知悉する佐藤優元外務省主任分析官と現代日本政治論を専門とする山口二郎法政大学教授が、歴史から読み解いていく。見えてきたのは、グローバル資本主義の限界と民主主義の行き詰まり、日本社会の変質と衰弱である。日本はどう変わっていくのか。われわれが迫られる選択とはいかなるものか。近未来への提言・処方箋を擁した警世の書。

■感想
最長記録を更新した安倍政権。その成果とは何だったのか。過去の成果を出した政権を引き合いに出し、安倍政権の実績を紐解いている。長期政権となった総理は必ずアメリカ大統領と良い関係を築けているらしい。確かに中国や韓国とはうまくいっていなかったが、安倍政権はトランプ大統領とかなり有効な関係が築けていた。

結局はアメリカ重視の政策が長期政権の肝なのだろう。中曽根政権はレーガン大統領と仲が良かったらしい。過去を美化するではないが、どうしても時代的なものなのか、過去の成果の方が良いように思えてしまう。

貧富の差が激しい日本。今後、どのようにしてこの格差を埋めていくのか。アベノミクスという名はついているが、結局のところ非正規雇用を増やし格差を広げている。これを是正するために日本がとるべき方向としては北欧のように社会福祉に力を入れることらしい。

アメリカのように個人主義ではより格差は広がるのだろう。ただ、北欧式では、税金をおさめずにただ乗りする人が多くなるとシステムは成立しない。そう考えると、現代の日本には向かないような気がしてならない。

長期政権が崩れた後には、短期の政権が続くらしい。短期の政権がコロナ対応を実施し、その後にまた長期の政権が立ち上がるのだろう。東京オリンピックやコロナなどで大騒ぎとなってはいたが、結局のところ歴史的には最も長期間政権を維持したということでの成果となるのだろう。

今回の長期政権にどのような成果があったのか。それは数年後の評価となるのだろう。強烈なインパクトはないのだが、日本が将来どうなっていくかなどを考えるきっかけとなるのは間違いない。

長期政権というのは、のちに大きな影響をおよぼすのは確かだ。



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