2020.7.26 エキセントリックな少女が起こした事件【特捜部Q キジ殺し】
特捜部Q キジ殺し [ ニコライ・リー・コス ]
評価:3
■ヒトコト感想
特捜部Qシリーズ。このシリーズは残酷な事件を残酷なまま描き、ある意味救いのない状態で終わっている。特捜部Qのカールはかなり強引な捜査をし、過去の事件を暴こうとする。今回は20年前の兄弟惨殺事件が絡んでくる。事件にはキミーという少女が絡んでおり、成長したキミーが事件の関係者に復讐をする物語だ。
序盤ではキミーと犯人たちが楽しい学生時代を過ごしている描写が続く。キミーとしてもクラスの1軍と仲良くなれる優越感に浸っていたのだろう。キミーは犯人たちに良いように扱われ、そして悲惨な晩年を迎える。成長したキミーは犯人たちへの復讐だけを糧に生きる。カールが真実を暴くのだが、権力者である犯人たちは、逮捕から逃れようとする。。。
■ストーリー
特捜部Qのカールとアサド、そしてローセの3人に託された20年前の事件ファイル。それは名門寄宿舎学校の近くでおきた兄妹惨殺事件だったが、犯人は事件発生直後に逮捕されて「終わった」案件。だが、あらためてファイルを見返すと、特定の人物に対する捜査は不十分なまま打ち切られ、事件の夜に通報してきた少女“キミー"が失踪するなど不審な点も多い。
カールとアサドは事件の鍵を握るキミーの捜索を開始するが、彼女を探しているのは“Q"のメンバーだけではなかった。警察内部の情報さえも知ることが出来るエリートたちは、キミーを「処理」すべく冷酷な指令を発していた・・・。
■感想
前作では特捜部Qが成り立った状況が描かれていた。今回は新たに秘書のローセが加わり、20年前の事件を再調査することになる。20年前にある兄弟が殺害された。名門寄宿舎学校の近くで起きた衝撃的な事件。その裏には様々な秘密があった。
メインは20年前の出来事なのだろう。少女キミーを中心として起きる陰惨な事件。名門校なだけに醜聞を周りに広めるわけにはいかないという葛藤もある。現代のキミーは犯人たちに復讐するため、過去の怒りを燃料として着々と準備をすすめていく。
名門校を卒業したエリートは、同じくエリート同士で固い絆で結ばれている。自分たちを守るためには警察内部の情報を手に入れて20年前の事件から逃げ切ろうとする。そうはさせじとカールとアサドは強引な捜査を続ける。その過程で、キミーの存在に気づく。
キミーは20年前の事件について深く根にもっている。合間に挟まれる20年前の事件の描写は強烈だ。キミーはリア充のグループで青春を謳歌していたのだが、そこで、キミーの暴走する性格が明らかとなる。
当時は名門校のエリート学生。今は有名企業の社長。エリートたちはエリート同士のつながりで逃げ切ろうとする。それを許さないカールたちは上層部の命令に背いてまでキミーを探しだし、エリートたちを訴えようとするのだが…。
ここでもまたキミーが暴走し自らの復讐を果たすためにエリートたちに迫る。キミーのすさまじい執念が伝わってくる。学生時代にハメをはずし自分が制御できなくなり、エリートたちと同じように暴れ、最後にはトカゲのしっぽのように切り捨てられたキミー。哀れすぎる。
キミーの人生のすさまじさは強烈なインパクトがある。
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