ザ・スリー 


 2018.3.8      現代人の精神世界に入り込む男 【ザ・スリー】

                     
ザ・スリー 暗黒の塔2 / スティーヴン キング
評価:3
スティーヴン・キングおすすめランキング
■ヒトコト感想
ガンスリンガー」から続くシリーズ。ローランドが黒衣の男を追いかける物語は続いていく。今回は、ローランドが現代のニューヨークで生活する男の思考の中に入り込んでしまう。麻薬の運び屋であるエディの思考に入り込み、エディとローランドは会話までしてしまう。時折、ローランドがエディとして現代を闊歩する。

当然ながら現代のしきたりになじまないローランドの戸惑いがある。さらには、ローランドのガンスリンガーとしての能力を存分に発揮する。エディだけでなく二重人格の黒人女性オデッタにまで入り込んでしまう。その際には、エディとローランドが共にオデッタに入り込む。オデッタは車いすであり、さらには二重人格の元となる人物は強烈なインパクトがある。まさにローランドはすさまじい状況に追い込まれている。

■ストーリー
黒衣の男を追い、暗黒の塔をもとめて、果てしない旅を続ける拳銃使い(ガンスリンガー)ローランドの前に突然現れた不思議な扉。その向こうには、現実世界のニューヨークが広がっていた。ローランドは扉をくぐり、不可思議なこの旅のカギを握る三人の人間たちに巡り会う。

麻薬の運び屋で自らもジャンキーのエディ、両足を事故でなくした、若くて美しい二重人格者の黒人女性オデッタ、そして、中年の無差別連続殺人鬼モート。三人との出会いによって、ローランドはまたさらに暗黒の塔への駒を一つ進めた…。著者畢生のカルト・ファンタジー、シリーズ第二弾。

■感想
ダークタワーシリーズの第2弾。今回はローランドが現実世界のニューヨークにいる人物に入り込んでしまう。黒衣の男を追う旅をしていたはずのローランドが、薬の運び屋であるエディの思考の中に入り込む。それだけではなく、エディと会話までしてしまう。

主に思考世界の中でのエディとローランドの会話から物語のすすむ方向が見えてくる。また、ローランドはエディに変わりニューヨークの真っただ中で生活したりもする。そこでは当然ながら現代のしきたりを知らないローランドが特殊な経験をすることになる。

ローランドは自分が頭の中に入り込んだエディを助けたりもする。薬の売人として追い込まれたエディを、ローランドが特殊な力で助ける。その代わりエディに助けられたりと、助け合いの関係ができている。その先には二重人格の黒人女であるオデッタに入り込み、エディがオデッタに恋をするというおかしな状況もある。

さらには、オデッタの別人格は男に対して強烈な悪意をもっており、下手するとエディを殺しかねない勢いがある。こんな特殊な状況にありながら、ローランドはさらにまた別の人格である殺人鬼のモートに入り込んだりもする。

殺人鬼モートに入り込んだローランドの動きはすさまじい。警察官たちに対して、同じガンスリンガーとして尊敬はするのだが、自分にふりかかる火の粉は振り払うしかない。ローランドが他者に入り込み、現代に生きることに、今後どのような繋がりができてくるのかは不明だ。

黒衣の男の存在はほぼ意識されないまま、現実の世界と精神世界でエディやオデッタと交流するローランド。生きていくために必要なものを手に入れることが、現実の法を犯すことになったとしても、ローランドには関係ない。

ダークタワーとして、今後どのような流れとなるのか、まったく先が読めない。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
*yahoo.co.jp