探偵部への挑戦状 放課後はミステリーとともに2 


 2018.8.28      超ライトな学園ミステリー 【探偵部への挑戦状 放課後はミステリーとともに2】

                     
探偵部への挑戦状 放課後はミステリーとともに / 東川篤哉 /
評価:2.5
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■ヒトコト感想
放課後はミステリーとともにシリーズの第2弾。学園を舞台としたライトなミステリー。主人公は一人称がぼくである女子・霧ヶ峰涼。探偵部ではミステリー部との対決や、鯉ケ窪学園を舞台に様々なしょうもないミステリーが展開される。本格ミステリーではない。まるで演劇のように死体役だとかが登場し、疑似的な事件を演じてそのトリックを暴くなんていうパターンもある。

その舞台を作ったのは探偵部を一方的にライバル視している大金うるるやさららという明らかに霧ヶ峰涼に寄せたエアコン対決用の名前となっている。前作よりは広島カープネタは抑えられている。学園ドタバタミステリーは相変わらずで、トリックのネタもちょっとしたものに抑えられている。

■ストーリー
鯉ケ窪学園、秋の学園祭。探偵部員と久しぶり(?)に、お好み焼き屋台へ興じる涼のもとへ「ミスコン」への誘いが。だがそれは、探偵部のライバル、ミステリ研究会から「ミステリ・コンテスト」への招待だった。挑戦者の名は大金うるる。

やはりエアコンの名を持つ美少女が、霧ケ峰涼へ推理ゲームを持ちかけて来た。架空に設定された密室事件を挑まれた涼。エアコン探偵同士の推理合戦は―(『霧ケ峰涼への挑戦』)。鯉ケ窪学園とその周辺で起きる愉快な驚愕。七つの謎が読者を待つ。

■感想
「霧ヶ峰涼と渡り廊下の怪人」は、陸上部の主将である足立が渡り廊下で倒れていた。何者かに殴られ気絶したと思わしき足立。渡り廊下の中央で誰が足立を襲ったのか…。足跡を考えると誰が犯人かわからない。事件としても、ただ足立が気絶しただけでしかない。

事件の深刻度はそこまでないが、足立が記憶を一時的に失ったというのがポイントかもしれない。足立と共にいた友達たちが怪しいのか、それとも空から何者かが降ってきて、足立を殴り足跡をつけずに立ち去ったのか。

「霧ヶ峰涼と瓢箪池の怪事件」学園一のモテ男が謎の女性にこん棒のようなもので殴られた。果たしてモテ男を殴ったのは誰なのか。そして、凶器となるこん棒はどこにいったのか。学園祭の最中に発生した事件。モテ男というのがポイントなのかもしれない。

モテ男は、ナイフのようなもので切られた痕がある。ただ、周りからはこん棒のようなもので殴られたように見えた。この違いがミステリーとしての味噌なのだろう。ただ、トリックが明かされたからといって特別な驚きがないのは確かだ。

「霧ヶ峰涼とお礼参りの謎」は、卒業を控えた3年生が教師にお礼参りをするという物語だ。物騒な内容かと思いきや、教師もお礼参りについてはガハガハと笑って流す傾向もあるらしい。そんな中で体育教師がお礼参りされて池に落ちてしまう。この謎を解くのは霧ヶ峰涼だ。

トリックを解明し犯人を見つけたとしても教師はやり返して犯人を池に落とすだけ。傷害事件として警察に突き出すなんてことはまったくない。まさに遊びの延長のような形のミステリー事件が目白押しとなっている。

このライトな感じは本格ミステリーファンは受け付けないだろう。



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