放課後はミステリーとともに 東川篤哉


 2016.1.26      ぼくっ子が活躍する学園ミステリー 【放課後はミステリーとともに】

                     
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■ヒトコト感想
学園ミステリー短編集。主人公は霧ヶ峰涼という名前であり、最初の短編を読むまでは、一人称が僕ということもあり、何の疑いもなく男と思っていた。それが、実は女であるということが最初の短編のポイントのひとつだろう。その後は、作者の他作品のように、野球関連の話がでてくる。小ネタとして野球の話題が多く、涼が女子でありながら男子野球部員と対等以上に渡り合ったりもする。

野球が好きなぼくっ子女子。さらには探偵部の副部長を兼任している。基本は学園内でちょっとした謎が発生し、そこから涼が事件の謎を解こうとする。あっさりと謎を解明できるものもあれば、探偵部の顧問教師が名探偵ぶりをアピールしたりもする。ライトな学園ミステリーだ。

■ストーリー

私立鯉ケ窪学園高等部副部長・霧ケ峰涼の周辺にはなぜか事件が多発する。校舎から消えた泥棒、クラスメ-トと毒入り珈琲一族との関わり、校外学習のUFO騒動―はたして解決できるのか…。

■感想
「霧ヶ峰涼と見えない毒」は、毒入りコーヒーの謎を解明するという短編だ。被害者は毒殺されたまではわかるが、どのようにして犯人が被害者のコーヒーに毒を入れたかがポイントとなる。涼が見事に推理するのだが、流れとしては結構なこじつけ感がある。

コーヒーというと、誰もがイメージするような飲み方があるのだが、本作はその飲み方とは違う方法でトリックを成立させている。トリックのインパクトはないのだが、オチがそんなのあり?という意外さで印象に残っている。

「霧ヶ峰涼の屋上密室」は、事件の経過だけを言ってしまうと、学園の屋上から女子学生を突き落としたが、犯人は落ちてきた女子学生の下敷きとなる。結論だけ見ると、全く意味がわからない。犯人が瞬間移動したのか、もしくは時空を飛び越えたのか。

物語としては、まだ犯人がわからない状態で涼が事件を調査する。まっとうに進んでいけば解決不能なミステリアスな事件として流れていきそうだが、ちょっとしたタイミングで普通の事件になってしまうような感じだ。オチについては、微妙なのはいつものとおりだ。

学園をテーマとしたミステリーなのだが、全体を通して、やはりコメディの要素が強い。特に野球に関するちょっとしたウンチクや、それを元にしたギャグなど、知る人が読めばかなり面白いと感じるだろう。コメディの要素が強いので、深刻な内容であっても、どこか軽い雰囲気を感じてしまう。

主人公の一人称が僕という時点で、ちょっと不思議な雰囲気となる。涼のビジュアルがどの程度かは描かれていないが、他に美少女キャラが登場してくるのを考えると、特別目を引く容姿ではないのだろう。

シリーズ化されているらしいが、作者の他のシリーズと若干かぶる部分がある。



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