小説という毒を浴びる 


 2019.12.3      ミステリー作家が他のミステリー作品を書評する 【小説という毒を浴びる】

                     
小説という毒を浴びる 桜庭一樹書評集 [ 桜庭 一樹 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
桜庭一樹の書評と対談集。作者の人となりがわかることと、どのような作品が好きかというのがわかる。作者が書評に選んだ作品はあまり自分とは好みがかぶらない。というか、かなり昔の作品が多い。中には自分が知っている作品もあるのだが、それは10分の1程度しかない。タイトルは知らないが、作者の書評を読んでいるとなんとなく内容はわかってくる。

ジャンルはわりとミステリーが好きで、恋愛小説などはまったく対象ではないようだ。お笑い芸人のエッセイや、同業者との対談まで作者のファンならばたまらない要素もある。今までの雑多な書評を全てまとめたような作品のため、作者自身の古い作品と同時期になんて話をされると時代を感じずにはいられない。

■ストーリー
『聖少女』『クレーン男』『歳月』『丁家の人びと』『船を建てる』『ある秘密』『ケイト・モス 美しく呪われし者』『ロリータ、ロリータ、ロリータ』『ジェイン・オースティンの読書会』『さみしいネコ』『燃えるスカートの少女』『枯葉の中の青い炎』『クリスマスに少女は還る』『わたしは驢馬に乗って下着をうりにゆきたい』『大人にしてあげた小さなお話』『むかし僕が死んだ家』

『二十歳の原点』『アブサン・聖なる酒の幻』『予告された殺人の記録』『オーランドー』『さむけ』『血族』『ゴドーを待ちながら』『センセイの鞄』『セールスマンの死』『プロレス少女伝説』『死せる少女たちの家』『赤い薔薇ソースの伝説』コナン・ドイル〈シャーロック・ホームズ〉シリーズ、小野不由美〈悪霊〉シリーズ、伊坂幸太郎、エラリー・クイーン、吉野朔実、谷崎潤一郎、北欧神話ほか、多数。書き下ろし書評には、スティーヴン・キング『IT』や、若林正恭『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』など。道尾秀介氏、冲方丁氏、綿矢りさ氏、辻村深月氏との対談を収録。

■感想
桜庭一樹と言えば、代表作は「GOSICK」シリーズなのだろう。やはり自身もミステリーを書いているだけに好きな本もミステリーに偏っている。古典のミステリーから新しい作家のものまで。ミステリーであれば、ある程度ついていくことができる。

それ以外の、純粋に古い作品は批評されてもよくわからないというのが正直なところだ。作者が絶賛する作品であっても、どのような面白さなのかあまり伝わってこなかった。ミステリーの肝心なトリックの部分を隠しながら説明するのはやはり難しいのだろう。

自分がよく知る作家の作品もある。例えばスティーヴン・キングの作品だったり、伊坂幸太郎だったり。ある意味、伊坂幸太郎などは思いっきり同業者でジャンルもかぶるのだが、あっさりと好きだと認めている。このあたりの一部の好みは理解できるのだが、それ以外の部分では微妙かもしれない。

古い作品のタイトルを出されて、すぐさま心に突き刺さる人は、よっぽどのマニアなのかもしれない。強烈なインパクトはないのだが、もしかしたらここにあげられている作品は割と有名なのかもしれない。単純に自分の知識不足なのだろうか。

ラストでは対談も収録されている。同業者との対談。「GOSICK」シリーズがシャーロックフォームズを参考にした作品というのは最初から感じていた。ただ、がっつりとそれを告白するとは思わなかった。特種な作品を書く作家なだけに、もっとマニアックな作品のファンだと勝手に想像していた。

よく考えれば作家・桜庭一樹としてはミステリーだけでなく歴史ものまで書いていたりもする。そして、桜庭一樹作品の中で自分の好みも「GOSICK」シリーズではないのを忘れていた。

作者のファンならば読んでおくべき作品だろう。



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