GOSICK  


 2011.11.10  アニメ絵が頭に思いうかぶ 【GOSICK】

                      評価:3
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■ヒトコト感想

ライトなミステリー。どうやらアニメ化されたらしく、キャラクター重視の作品なのは間違いない。少年久城が狂言回し役となり、探偵役はなぞめいた博識の美少女という、わりと定番的なキャラクターたちだ。ヴィクトリカが混沌とした事態を再構成し、謎を解き明かす。お決まりどおり二人は事件に巻き込まれ、命の危険を感じながら、事件を解決していく。久城がどこか気弱で周りに流されるタイプであり、反対にヴィクトリカは寡黙だが信念を貫くタイプだ。この強弱分かれた関係というのは、ミステリーとしてはよくある。ヴィクトリカのツンデレ具合もほどよい。シリーズのスタートということもあり、キャラ紹介の意味が強いのだろうが、世界観は十分に伝わってくる。

■ストーリー

聖マルグリット学園の図書館塔の上の上、緑に覆われたその部屋で、妖精のような少女―ヴィクトリカは待っている。自らの退屈を満たしてくれるような、世界の混沌を―。その少女は語るのだ。パイプをくゆらせながら。「混沌の欠片を再構成しよう」そして、たちどころにそのどんな謎をも暴く…いや、〈言語化〉してしまうのだ…という。西欧の小国・ソヴュールに留学した少年・久城一弥。彼はふとしたことから知り合った少女・ヴィクトリカとともに、郊外に住む占い師殺人の謎に挑む。しかし、それはある大きな謎の欠片でしかなかった。囚われの姫と、彼女を護る死に神が、幽霊の現われる呪われた船の謎に挑む。

■感想
長く続くシリーズとして、またアニメ化されたことで注目をあびた本作。ガッツリとしたミステリーが好きな人には物足りなく感じるライトなミステリーだ。シリーズとしての導入部であり、キャラクター紹介がメインなので、本作ではまだそれほど濃い謎は登場しない。それでも、定番的なキャラクターたちが、派手に動き回り謎を解決していくさまは、ありきたりだが安心できる流れだ。尻にしかれるタイプの久城と、寡黙だが天才的な頭脳と推理力を持つ少女ヴィクトリカ。この二人が、今後難事件を解決していくのだろう。

舞台がヨーロッパということで、洋物の華やかさというか、東洋とは違う、独特な雰囲気がある。メインキャラが少年少女ということで、フランス人形が頭の中には浮かんでしまう。それぞれのキャラクター付けはこれ以上ないほど確立されており、頭の中では勝手にキャラが動き回っている。ちょっと気弱な狂言回し役と、寡黙な天才探偵というのは、ミステリーとしていたるところに存在しているコンビだ。本作ではそれらと差別化するために、少年少女ということと、ヨーロッパという舞台を使っている。ただ、それらも決定的な個性となるわけではないので、今後、なんらかのキャラに対する個性が後付けされるのだろう。

ライトなミステリーといっても、しっかりと基本は抑えられている。過去のある出来事を模倣したような事件に巻き込まれた二人が、難事件を推理する。幽霊船や、野兎、猟犬などヒントとなるキーワードがサブリミナル的に散りばめられ、読者を不思議な世界へといざなう。トリックに驚くというたぐいの作品ではなく、不思議な事件の推移を追っていく物語だ。シリーズということで、今後ポイントになるであろうキャラクターも多数登場し、準備は整っている。恐らく今後、ミステリー的な面白さがパワーアップしていくのだろう。

キャラクター紹介編としては、十分役割をはたしている。




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