小説 機動戦士ガンダムNT 


 2019.8.24      正当なガンダムシリーズの続編 【小説 機動戦士ガンダムNT】

                     
小説 機動戦士ガンダムNT
評価:3
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■ヒトコト感想
機動戦士ガンダムUCの続編にあたる作品。ユニコーンガンダム3号機がフェネクスとして姿を見せる。神出鬼没のフェネクスを追いかけるナラティブガンダム。ガンダムシリーズの定番として、ニュータイプが主人公なのは当然だろう。リナ、ヨナ、ミシェルの3人はコロニー落としを予言した奇跡の子供として強化人間にされてしまう。

ガンダムシリーズ独特のシリアス感と、ラストに近づくにつれメインキャラが死んでいく感じは踏襲されている。リナはどうなったかは語られていないが、フェネクスに取り込まれているのだろう。唯一まともなのはヨナだけ。ライバルとして同じく強化人間が登場し、ジオングの進化版での対決が待っている。ガンダムUCを読んでいなくても楽しめる作品だ。

■ストーリー
U.C.0097―。『ラプラスの箱』が開かれて一年。消息不明となっていた“ユニコーンガンダム”3号機が、再びその姿を見せ始めた。金色の“不死鳥”…その名は、“フェネクス”。“フェネクス”捕獲のため動くルオ商会特別顧問、ミシェルと“ナラティブガンダム”のパイロット、ヨナ。かつてコロニー落としを予見し、“奇蹟の子供たち”と呼ばれた二人だが“奇蹟の子供たち”には三人目がいた…。

時代に翻弄され続けた彼らが最後に辿り着いた先は―。宇宙世紀シリーズ最新作映画「機動戦士ガンダムNT」の脚本をもとに完全書き下ろし!三人の知られざる過去が明かされる小説版!

■感想
ガンダムシリーズとして、過去のガンダムを見ているとより楽しめるだろう。リナたちが感じたコロニー落としがどういった経緯で行われたのか。ティターンズの話や強化人間の歴史なども描かれている本作。明らかにガンダムシリーズを知っている前提での作品だ。

ある意味本流と言えるのだろう。1年戦争から続く物語として、つじつまの合わないことには目をつむり物語をすすめている。本作では奇跡の子である3人がそれぞれの運命に翻弄される。幼少期から描かれることで、その過酷な運命を感じることができる。

リナはニュータイプとしての才能が最もある。リナを救うため、良かれと思いミシェルが考えた策略はすべて裏目にでる。ニュータイプの見込みがあるリナはフェネクスに取り込まれてしまう。冒頭からヨナが追いかけるフェネクスには、コックピットの描写がない。

ヨナもミシェルもそこにリナがいるということはわかっている。つまり、リナの肉体は存在しなが精神としてフェネクスを操作するリナがいるということだ。なんとも残酷な展開だ。

ナラティブガンダムと対決するシャア的なライバルは当然存在する。強化人間でありガンダム撃破に執念を燃やす男。オールドガンダムファンが喜ぶのは、ラスボスがジオングということだ。

シャアの再来としてフルフロンタルが登場したUCと比べるとインパクトは弱い。それでもジオングが登場したことでラストの対決感は増している。今後、本作をベースとしたアニメが作られるのだろう。正当な宇宙世紀ものとして、どれだけファンに支持されるかは気になるところだ。

オールドガンダムファンも満足できる作品だ。



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