新感染 ファイナル・エクスプレス


 2021.12.16      死が迫ると人間の本性が現れる【新感染 ファイナル・エクスプレス】

                     
新感染 ファイナル・エクスプレス [ コン・ユ ]
評価:3.5

■ヒトコト感想
ゾンビ映画は数あれど、本作ほど緊迫感や絶望感、そして人間のあさましさが表現された作品はないだろう。疾走する高速鉄道の中でゾンビがあふれでる。車両を分ける扉をゾンビが開けることができないのは重要なポイントだ。自分たちだけが助かればよいのか。人を助けるために自分たちを危険にさらすのか。

さっきまで会話していた者が、次の瞬間にはゾンビとなっている。現代社会にゾンビが存在したらこうなるのでは?という予測も入っている。国はテロとしてゾンビを抑え込もうとする。ゾンビが現れた地域を隔離するしか対処方法はないのだろう。妻の元へ向かう父と娘、妊婦とその旦那。この4人がメインなのだが、お決まり通り次々と犠牲になっていく。

■ストーリー
ソウル発プラン行きの高速鉄道KTXで突如起こった謎の感染爆発。列車内で凶暴化する感染者たち―乗り合わせたのは、妻のもとへ向かう父と幼い娘、出産間近の妻と夫、そして高校生の恋人同士…彼らは終着駅にたどり着くことができるのか―?目的地まであと2時間、絶体絶命のサバイバルが今はじまる!

■感想
突然の感染爆発。ゾンビとなる原因などは詳しくは語られない。ただ、とんでもないことが起こっていると、だんだんと判明するのは強烈だ。駅を出る列車の外で、人々の阿鼻叫喚がチラ見えする。走る列車の外では人々の混乱が見えている。

列車の中のある車両では、感染に苦しむ一人の女がいる。明らかにこれからこの電車内で惨劇が起こると予想できる流れだ。序盤ではまだほとんどの人が気づいていない状況でありながら、後半からは一気にとんでもない状態となる。次々と車両内部では人がゾンビ化していく。

ゾンビの襲いかかってくるスピードが尋常ではない。それに平行するように恐ろしさが増してくる。ゾンビの制限事項が秀逸だ。暗闇では人間を認識できず音のみで襲いかかってくる。人間の姿が見えなければ攻撃的にはならない。取っ手のある扉などを開けることができない。

この制約によりゾンビから逃げ切ることができるのだが…。行く先々でゾンビ化した者しかいないため、列車内部では混乱が増していく。そして、人間同士の自分勝手な行動がクローズアップされていく。このあたりは、死が迫れば表にでる人間の本性なのだろう。

メインキャラたちは次々とゾンビ化していく。最後まで自分勝手に生き残ることしか考えなかったバス会社の社長は、自業自得でゾンビ化する。父親は娘を守るため、自分がゾンビに噛まれたと知ると、娘と妊婦だけを個室に逃がし、自分は列車から飛び降りることを選択する。

ゾンビ化する過程で、どこまで正常に意識を保てるのか。ギリギリの選択なのだろう。ラストは国としてのしっかりとした対応が描かれている。やはり究極は隔離しかない。感染している可能性のある者は遠距離から排除するしかない。

本作の前日譚は「ソウル・ステーション」で描かれている。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp