セッション(2回目)


 2018.7.11      認められたいという強い思い 【セッション(2回目)】

                     
セッション [ マイルズ・テラー ]
評価:3

■ヒトコト感想
初めて見たときの衝撃から2回目は多少その衝撃度は和らいでいる。それでも、ニーマンの鬼気迫るステック捌きはみものだ。鬼のようなフレッチャーとニーマンの強烈なまでのドラムにかける思い。初めて見た時よりも冷静にニーマンの状況を観察できた。ドラムで有名になることが周りに対しての自分の存在意義となる。ドラムのために恋人と別れたりもしたが、つまらない事故でチャンスを失いそうになる。

フレッチャーのいやらしいまでのイジメと、チャンスを与えたと思わせながら崖下に突き落とすような行為。まさにドSの極みといえるだろう。この強烈な状況というのは、ニーマンにはかなりつらいが、そこから這い上がってこそ一流のドラマーになれるということだろう。

■ストーリー
名門音楽大学に入学したニーマン(マイルズ・テラー)はフレッチャー(J・K・シモンズ)のバンドにスカウトされる。ここで成功すれば偉大な音楽家になるという野心は叶ったも同然。だが、待ち受けていたのは、天才を生み出すことに取りつかれたフレッチャーの常人には理解できない〈完璧〉を求める狂気のレッスンだった。

浴びせられる罵声、仕掛けられる罠…。ニーマンの精神はじりじりと追い詰められていく。恋人、家族、人生さえも投げ打ち、フレッチャーが目指す極みへと這い上がろうともがくニーマン。しかし…。

■感想
ドラマーとして成功するために、ひたすらドラムをたたき続けるニーマン。2回目の鑑賞だが、やはりフレッチャーのいやらしさは群を抜いている。大声を出して相手を威嚇する。ちょっとでもミスしようものなら部屋から追い出す。

フレッチャーが部屋に入ってきた瞬間の、生徒たちが緊張する姿はすさまじい。瞬間的に背筋が伸び空気感が変わる。そして、フレッチャーがさっと手を挙げると、生徒たちは一糸乱れぬタイミングで楽器を目の前にかかげる。フレッチャーのスパルタ具合が一目でわかる場面だ。

ニーマンが家族や兄弟たちに自分のすばらしさを語る。そして、兄弟たちの成果に難癖をつける。初回では気づかなかったが、ニーマンの家族内での位置づけがはっきりする場面だ。おそらく、兄たちに馬鹿にされつづける人生だったのだろう。

ニーマンはスポーツが苦手で音楽に活路を見出そうとした。ニーマンからドラムをとったら何も残らないほど没頭していたのだろう。そのことを理解しているのは父親だけ。ラストの場面で、ニーマンに対してそっと抱きしめる父親の姿が印象的だ。

フレッチャーが場末のライブハウスで心地良くピアノを演奏するシーンがある。この時のフレッチャーの表情は、大学での鬼の表情とは正反対のにこやかな表情だ。ゆっくりとリズムをとりながらピアノを演奏する。その姿はまさに心底音楽を楽しんでいるという姿だ。

そんなフレッチャーがニーマンに良い条件のコンサートのヘルプを依頼する。直前のフレッチャーの表情を見れば、誰もがフレッチャーが変わったと思うだろう。それが大きな落とし穴だ。ラストのニーマンの状況というのは、2回目であっても強烈だ。

1回目ほどの衝撃はないが、演奏シーンは強烈なインパクトがある。



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