セッション


 2016.10.3      すさまじい熱量の演奏シーン 【セッション】

                     


■ヒトコト感想
音楽大に入学したニーマン。伝説的な教授であるフレッチャーに目をかけられ有頂天となるが、厳しいしごきに耐えることができず…。すさまじい迫力だ。ドラマーの物語なのだが、ニーマンの鬼気迫るスティック捌きは見る者を離さない力がある。フレッチャーの要求する水準が高いため、戸惑いながらも手から血を出すほど練習し成長していくニーマン。

ひとりのドラマーが成長していく物語ではない。フレッチャーの行き過ぎたしごきは尋常ではない。そして、ラストの仕打ちも人間とは思えない悪行だ。にも関わらず必死にくらいつき、最後にはフレッチャーを屈服させるニーマンの迫力がすさまじい。ニーマンの見た目と心のギャップが一番衝撃的だ。

■ストーリー
名門音楽大学に入学したニーマン(マイルズ・テラー)はフレッチャー(J・K・シモンズ)のバンドにスカウトされる。ここで成功すれば偉大な音楽家になるという野心は叶ったも同然。だが、待ち受けていたのは、天才を生み出すことに取りつかれたフレッチャーの常人には理解できない〈完璧〉を求める狂気のレッスンだった。

浴びせられる罵声、仕掛けられる罠…。ニーマンの精神はじりじりと追い詰められていく。恋人、家族、人生さえも投げ打ち、フレッチャーが目指す極みへと這い上がろうともがくニーマン。しかし…。

■感想
フレッチャーに目をかけられバンドにスカウトされるニーマン。そこでフレッチャーの厳しいしごきが始まる。テンポが速い遅いをひたすら言われ続ける。早い!遅い!と本人が理解しているのか、ひたすら言われ続ける。椅子を投げつけられ、失格の烙印を押されるニーマン。

このあたりからニーマンへのしごきが単純に見込みがあるからだけではないと思えてくる。偶然、先輩が楽譜をなくしたことから暗譜していたニーマンが主奏者となる。そこからニーマンは華々しい道を歩くのかと思いきや…。

フレッチャーの鬼気迫る表情は強烈だ。ドラマー以外にも激しく罵倒する。少しでも意に沿わない演奏をする者はすぐさま首にする。バンド内のピリピリとした雰囲気がフレッチャーの独裁者ぶりを表現している。フレッチャーに反抗するとバンドにはいられない。

ニーマンとしては周りへ自慢した手前、絶対にドラマーとして成功しなければならないという強いプレッシャーがかかっている。恋人ともドラムに専念するためにわかれる。ニーマンの必死さとがけっぷち具合が強烈に伝わってくる。

ラストの演奏は強烈だ。フレッチャーの策略により楽譜がない状態でボロボロの演奏を行うニーマン。そこで負け犬として逃げるのではなく、そこからもうひと踏ん張りする。ひたすらドラムをたたきつ続けるニーマンの迫力に圧倒されてしまう。

仕舞にはフレッチャーさえも従わせる力がある。ニーマンのドラム捌きはすさまじい。スピードもそうだが激しさが群を抜いている。飛び散る汗と血。フレッチャーの怒りの表情すらも吹き飛ばす、ニーマンの命を賭けた演奏というのは、強烈なインパクトがある。

これほど演奏の熱量を感じる作品はない。



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