猿の惑星


 2021.10.25      古さが逆に新しく感じさせる【猿の惑星】

                     
猿の惑星 [ チャールトン・ヘストン ]
評価:3

■ヒトコト感想
色あせることのない名作。そのデザイン性の特殊さからTシャツになったりもした本作。宇宙船でたどりつた星は、猿が支配する地球にそっくりな星だった。宇宙飛行士のテイラーが猿に襲撃され喉を負傷したことで言葉が発生できない部分が秀逸だ。猿が話をしているが、人間は知能が低くまさに獣のような状態だ。現代の人間と猿の立場がまるっきり交換されたような状況だ。

のちにテイラーが話せて文字も書けることを知ると、一部の猿はテイラーを排除しようとする。非常に深い作品だ。ラストのオチは、有名な映像だ。本作を見てから「猿の惑星 創世記」を見るべきだろう。地球がどのようにして猿に支配される惑星になったのかが描かれている。

■ストーリー
地球から320光年、とある惑星に不時着した宇宙船の飛行士テイラーが見たのは、人間のように言葉を話す猿が人類を支配する恐るべき世界だった……!

■感想
もはや古典的な存在である本作。音楽や映像の古臭さは逆にオシャレに感じてしまう。登場してくる猿にしても当時の技術では限界であろうが、猿の被り物感がすさまじい。映像的な古さはあるが、それが新鮮に感じてしまう。

猿が被り物風ではあるが、微妙な表情の違いが表現されているのが良い。さらには歩き方なども工夫しているのだろう。女の猿はどことなく女らしい猿の動きをしている。微妙に蟹股でぴょこぴょこ飛ぶように歩く猿の動きは細かいことだが、非常に印象に残っている。

ストーリーが秀逸だ。テイラーは言葉を話せるのだが喉を負傷して声がでない。猿たちが議論しているのを目の当たりにして文字を書いたりするのだが…。猿の中には人間が知能を持ち文字を書けることを知っていながらそのことを公にしないように動いているそぶりすらある。

その後の人間の横暴により地球が破壊されたことへの伏線なのだろう。まるで聖書のように猿たちの間で経典とされている書物がある。滅びる前の人間の文明を信じないこと、そして人間を復活させないことを第一に考えている猿もいる。

ラストの映像は有名だ。テイラーは他の星かと思っていたが、実は何百年後かの地球だった。そこで人間たちの争いにより人間の文明は滅び、猿が台頭してくる。猿が知能をもつようになり、人間が退化していく原因はその後の「猿の惑星 創世記」で描かれている。

全体として古さがあり、動きのチープさや演出の稚拙さはあるが、ストーリーが秀逸なので今見ても十分楽しめる。思ったよりも猿たちがそこまで恐ろしい存在として描かれていないのは意外だった。自分の中ではもっと猿は恐ろしい存在として描かれているイメージだった。

オリジナルとして、猿の惑星の面白さが凝縮されている。



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