猿の惑星:創世記


 2014.10.3      目で語る猿 【猿の惑星:創世記】  HOME

                     
評価:3

■ヒトコト感想
猿の惑星を見るなり知っていないとなかなか厳しいだろう。猿が人間を支配する世界となる原因を本作が語っている。のちに、猿の惑星の世界があると知っているからこそ楽しめる内容なのだろう。一匹のチンパンジーが高度な知能を持つようになった原因は?そして、その他のチンパンジーやゴリラたちの頭脳が成長したのは?偶然の要素が絡むんでくる。

本作の場合、ストーリーよりもその映像に目を奪われてしまう。高度な知能を持ったチンパンジーの表情がすばらしい。目で物を訴えかけるというか、まさに演技をしている。オラウータンやゴリラにしても、力強さよりも知能の発達を表現する表情がすばらしい。言葉がなくとも、表情で何を言いたいかが伝わってきた。

■ストーリー

現代のサンフランシスコ。製薬会社ジェネシス社の研究所に勤める若き神経科学者、ウィルが実験のためアルツハイマー病の新薬を投与した一匹のチンパンジーが驚くべき知能を示した。ところが、そのチンパンジーは突如暴れ出した挙句、射殺されプロジェクトは中止されてしまう。ウィルは生まれたばかりの赤ん坊を自宅に連れ帰り、“シーザー"と名付けて育てることに。

3年後、すくすくと育ったシーザーとウィルとの間には本物の人間の親子のような強い絆が生まれており、同時に特殊な遺伝子を受け継いだシーザーは、類まれな知性を発揮し始めていく。しかし、ある事件がきっかけで、シーザーは人間の愚かさに失望してしまうのだった。そして、失望は地球上の生物の進化の概念を覆す「壮大な闘い」の序章へとつながっていく……。

■感想
発端は、アルツハイマー病の治療薬の開発から始まった。一匹のチンパンジーが高度な知能をもつにいたった要因としては、それなりに説得力がある。ただ、その後に続く猿の惑星の世界を想像すると、この程度で人間社会を駆逐できるのか?という思いがなくなることはない。

シーザーという類まれな知性を発揮したチンパンジーが主導したとしても、それには限界がある。そのあたり、本作ですべてを描こうとはしていない。知性を持った猿が存在し、猿の社会が出来上がっていくそのスタートが本作に描かれている。

シーザーの表情がすばらしい。言葉はしゃべらないが、その仕草と表情が言葉以上のものを物語っている。猿の知能が発達したというだけでなく、社会性まで身に着け、仲間を増やすためにはどうすれば良いのか、なんてことは、人間社会から学んだのだろう。

あの猿の惑星のキャラクターとは、まだほど遠いが、表情と目の輝きだけは、すでに猿の惑星と同等のものを感じることができる。手話で話をするなんてのが、猿の動作として違和感がないだけに衝撃的だ。力の強い猿たちが知能を持った場合の恐ろしさに満ちた作品だ。

猿の惑星を見たことがある人ならば楽しめるだろう。そうでない人は…。結局のところ、知能を持った猿たちが、人間たちに飼いならされることから抜け出し、自分たちの世界を作るという物語となっている。お決まりどおり、猿たちにひどい扱いをしていた人間は、その報いを受けることになる。

生体実験として使われ、檻に入れられ監視される猿たち。身体能力のすさまじさは人間を凌駕するが、武器を持った人間たちに勝てるはずがない。今後、この猿の集団たちが、どのようにして人間社会を駆逐したのかは、描かれていない。

猿の惑星を見ていることが前提の作品だ。



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