ダーク・ブルー 


 2020.9.26      シージャックされた深海探索船 【ダーク・ブルー】

                     
ダーク・ブルー / 真保裕一
評価:3
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■ヒトコト感想
深海の探索を行う潜水調査船「りゅうじん6500」をめぐる物語。調査に向かう途中で、船が突如として武装集団に襲われる。テロ組織は自分たちの民族の宝を海底から引き揚げるためにりゅうじんを使おうとする。調査船にテロ組織が乗り込み、そして高度な知識が必要な調査船を自分たちで操り宝を手に入れようとする。シージャックされた場合、どのような状況となるのか。

船長らが武装集団に銃で撃たれたと思われたのだが…。狭いりゅうじんの中でテロ組織から銃を突き付けられた状態でマニピュレータを操作する。宝を無事に確保できたのだが…。テロ組織側も一枚岩ではない。特殊な技術が必要な機器をテロ組織は執念で使おうとする。新しいタイプのシージャック作品だ。

■ストーリー
海洋調査を専門とする日本海洋科学機関―JAOTECのパイロット・夏海ら潜航チームは、天才科学者・奈良橋教授の開発チームとともに、潜水調査船「りゅうじん6500」に搭載された新型マニピュレーターの検証実験のため、フィリピン沖に向かう。だが、突如武装集団の襲撃に遭い、母船が占拠、船員を人質にとられてしまう!彼らの目的は、深海の沈没船に隠された、世界を変えうる力を持つ「宝」のサルベージだった。仲間の命を救うため、夏海は調査船に乗り込み、銃を突きつけるシージャック犯とともに、暗く蒼い海の底へと生死をかけたダイブに臨む―。

■感想
潜水調査船を運航することがかなりシビアで、チームやパイロットは常に神経をはっている。未知の海底へと探索へ向かう小さな探索船のパイロットはかなりの訓練と特殊な技能が必要となる。女性パイロット候補である夏海は、女性ならではの悩みや問題もある。

狭い探索船の中でどのような状況になるのか。探索船を搭載した船が武装組織にシージャックされる。訓練された兵士たちに対して、船の乗組員たちは戦闘の素人。武装組織は少人数であろうとも、船のメンバーが対抗できるはずがない。

武装組織は調査船のメンバーに銃を突きつけ、言うことを聞けば殺さないと脅してくる。テロ組織の目的は、世界を変える力をもつ民族の「宝」を海底からサルベージすることだった。沈没した船の救助ボートに宝はあるのだが、それを引き上げるにはりゅうじんが必要となる。

宝を引き上げることができるのは未知の海底を調査できるりゅうじんだけ。それを拿捕するだけでなく、乗組員からレクチャーをうけて自分たちでマニピュレータを操作する。すさまじい執念だ。

探索船での作業は様々なアクシデントがありながら、宝を積んだ救助ボートを引き上げることに成功したのだが…。武装組織も一枚岩ではなく、実は急遽増員したメンバーもいるため、それらのグループがリーダーを射殺してしまう。

強烈な状況だ。武装組織の中には志が高いものもいれば、ただ金がほしいだけで参加した者もいる。そんな中で命をかけて探索船で宝を取り戻した者は、怒り狂い、ある策略を練る。作者の取材力というか、特殊な知識に基づいた作品には驚かされずにはいられない。

深海を探索する船がメインの物語だ。



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