2018.3.14 マンガのキャラと鮫島が絡む 【鮫島の貌】
鮫島の貌 新宿鮫短編集 (光文社文庫) [ 大沢在昌 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
新宿鮫シリーズの短編集。シリーズを読んでいればより楽しめるだろう。シリーズが始まる前の物語や、マンガのキャラクターである冴羽遼が登場してくる。鮫島とは正反対のキャラだが、マンガファンにはうれしいだろう。さらには、こち亀の両津が登場したりもする。
同じ警察ということで、両津のキャラが良く生きた内容となっている。その他にも、シリーズを読んでいればより楽しめる短編もある。シリーズファンも、そうでない人も楽しめる作品となっている。自分の場合は、シティーハンターやこち亀も読んだことがあるので、小説の中に登場してくるとなんだかけうれしかった。鮫島の知られざる一面が読める短編でもある。
■ストーリー
新宿署に異動直後、上司となる桃井と鮫島との出会い。飛び降り自殺を図ろうとした少年と関わる晶。鮫島の宿敵・仙田、鑑識官の藪…。シリーズに登場する個性的な人物たちの意外なエピソードから、人気コミックの主人公である両津勘吉や冴羽〓(りょう)との共演まで。孤高の刑事・鮫島の知られざる一面が垣間見える短編が勢揃い。「新宿鮫」にしかない魅力が凝縮された全10作品。
■感想
「区立花園公園」は、鮫島がシリーズで活躍する前の物語となっている。鮫島が自分の信念を曲げずに強引な活動ができるのは、裏でサポートしてくれた人がいたということだろう。出る杭は打たれるはずが、打たれずに生き残っている。
そのことに鮫島自身は気づかずにシリーズ序盤はすすんでいくのだろう。それが、後半になると”まんじゅう”であるはずの存在が重要となる。強烈なインパクトはないのだが、鮫島のルーツがわかるような気がした。この短編が最も重要かもしれない。
「亡霊」は、亡くなった須藤という元暴力団員が、なぜか姿を現したかという物語だ。新宿鮫シリーズとはほとんど関連はない。純粋に鮫島が主役として、奇妙な事件の謎を解くという感じだ。鮫島の個性よりも、そこに至るまでのミステリアス感が強い。
亡霊のタイトルの意味も、謎が判明するとはっきりしてくる。「雷鳴」もそうだが元暴力団員が絡む物語の面白さがある。特に鮫島はすべてを把握した上で、ある程度泳がせているような流れが良い。
その他に、2つの短編で冴羽遼や両津が登場してくる。それぞれが最初からそのキャラ全開で出てくるわけではない。物語がすすむにつれて、キャラクターの名前が小出しにされてくる。特に冴羽遼の場合は、香などが登場することではっきりしてくる。
両津の場合は、同じ警察官として登場してくる。鮫島と強烈な絡みがあるわけではない。どちらかと言えば通りすがりに近いかもしれない。ただ、鮫島が実は階級が高いということに気づいた両津が、階級を知りたくないと拒否する場面は最高かもしれない。
新宿鮫シリーズファンには外せない短編集だ。
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