埼玉県立浦和高校 


 2019.10.5      レベルの高い高校生たちだ 【埼玉県立浦和高校】

                     
埼玉県立浦和高校 人生力を伸ばす浦高の極意【電子書籍】[ 佐藤優 ]
評価:3
佐藤優おすすめランキング
■ヒトコト感想
佐藤勝が卒業した浦和高校での公演をメインに、現役教師との対談も含まれている。公立高校で東大進学率が高いというのは特殊な状況だ。私立であれば受験を見据えて受験対策にだけ力を入れるパターンもある。浦和高校は公立高校として多数のイベントをこなしながら受験でも高い効果を上げるような教育がされている。

本作の内容を読むと時間との闘いだというのがわかる。最も驚いたのは、10キロのマラソン大会から始まり、50キロもの距離を7時間以内に走りきるというイベントもある。普通にフルマラソン以上というのがすさまじい。若さはあるにせよ、超進学校であり50キロ走りきるというのはとてつもないことだと思わずにはいられない。

■ストーリー
昨日の自分を超えていけ。受験特化型の進学校にも富裕層向け私立校にも負けない公立高校の使命とは。卒業後の人生をしぶとく生き抜く力はいかにして体得されるのか。高校時代の学習法、大学受験の奥義、社会人のサバイバル術。OB佐藤優が浦高教育の真髄を徹底解説。

■感想
現役の浦和高校の生徒たちは日々密度の濃い学校生活を送っているのだろう。作者の公演の内容を読むと、私立ではなく公立だからこそのメリットも語られている。よい大学に入ればすべてOKなわけではない。社会に出て幸せになれるかは、総合知にかかっているという。

確かに受験マシーンとして中高一貫の私立に行けば、中学時代に高校3年までの範囲を終えることも可能だろう。その後はひたすら受験対策だけを続ける。受験で成功したとしても、その後の社会で成功できるかは別問題なのだろう。

作者の体験談として、成績がよいので東大の理Ⅲに進学したが自分が医者に向いていないと気づき、途中で外交官になった人がいたようだ。単純に成績上位だからといってむずかしい学部にチャレンジすることにまったく意味はないのだろう。

高校時代であれば単純に成績の良し悪しだけで進学先を考えるパターンがある。それはおろかなことなのだろう。浦和高校の生徒たちは学校のイベントや部活を頑張りつつも、受験で結果を出す。となると時間が不足するので隙間時間を見つけて勉強するのだろう。

生徒からの質問も描かれている。ある程度選んだにせよ、生徒の質問は非常に意識の高いことがうかがえる。自分が高校の時には絶対に考えていないことだ。先の人生を考えてさまざまな選択をする。作者が言うには1度の浪人は許容範囲らしい。

3度以上の浪人はNGのようだ。決められた範囲の勉強をするのに人の3倍かかっているのでは仕事も遅いに違いないらしい。確かに、自分の会社にも4浪した部下がいるのだがとんでもなく仕事が遅いのは間違いない。

社会人として成功するためには綜合知が必要らしい。文系だからと数学を捨てるのはNG.理系だからと世界史を捨てるのはNG.どちらも知識として必要ということだ。真のエリートとなるためには何が必要なのか。レベルの高い提言であることは間違いない。

本作を読むような人は、おそらく意識が高くレベルが高いのだろう。自分が高校生の時には考えもしなかったことが語られている本作。もし、自分が高校生の時に本作を読んでいたら何か変わっていただろうか…。

レベルの高い高校生たちの話だ。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
*yahoo.co.jp