路上のX 


 2018.7.24      JKたちの困難な人生 【路上のX】

                     
路上のX [ 桐野夏生 ]
評価:3.5
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■ヒトコト感想
平和な日常から突如として非日常に送り込まれたJKを描いた作品。両親に捨てられ、叔父の家では折り合いが悪く渋谷を徘徊するJK。三人のJKたちがどのようにして日々を生きていくのか。バイト先でレイプされたJKや義父からレイプされたJKなど、非常にハードな人生を過ごしている者たちだ。自分たちが生きるために、オタク大学生の家に入り込み、監禁のようなことをして自由に過ごしたり、まさにむちゃくちゃな状況だ。

本作が女子高生たちの日常とは思わないが、世の中にはこんな感じのJKも存在するのだろう。JKたちの行く末が気になり、読み進める手を止めることができなかった。大人たちの世界は非常に複雑で、その中に放り込まれ、一度レールを外れるとなかなか元の平穏な生活に戻ることはできない。

■ストーリー
幸せな日常を断ち切られ、親に棄てられた女子高生たち。ネグレクト、虐待、DV、レイプ、JKビジネス。かけがえのない魂を傷めながらも、三人の少女は酷薄な大人たちの世界をしなやかに踏み越えていく。最悪な現実と格闘する女子高生たちの肉声を物語に結実させた著者の新たな代表作。

■感想
リアルなのかどうなのかすらわからない。世間のJKビジネスなどよくある話を切り張りしたような感じかもしれない。それでも、両親に捨てられた真由はまっとうな生活に戻るために努力する。やはり金がないのが一番つらいのだろう。その結果、手っとり早く稼げる手段としてJKビジネスに手を出してしまうのだろう。

バイト先のラーメン屋の二階でレイプされ、逃げ出した真由。渋谷でリオナと知り合い、オタク大学生の家に居座ることになる。真由がちゃんとしたモラルのある子だということに救いがあるのだが、それだけに苦悩する場面もある。

リオナ視点での物語もまた強烈だ。義父にレイプされ、そこから逃げ出すためにJKビジネスに手をだす。そして、変態の大学生を捕まえ家に居座ることに成功するのだが…。リオナと真由ともう一人妊娠したJKが追加され、3人で大学生の家に居座ることになる。

そして、自由になるためにオタク大学生を監禁し家を自由に使うのだが…。このあたりはめちゃくちゃだ。自分たちの都合しか考えていない。気弱な大学生を脅し、監禁し、あげくのはてにはATMから金を盗んだりもする。無茶苦茶な女子高生たちだ。

真由は両親がいなくなった原因を伯母の口から知ることになる。両親の状況もまた強烈だ。みなが自分の欲望のことだけを考えている。他人や子供のことはお構いなし。娘がレイプされたとしても関係ないのだろう。

真由は自立するために母親に資金援助を依頼する。たとえここである程度まとまった金を手に入れたとしても、真由がすぐにまっとうな道に戻れるとは思えない。これが、渋谷でたむろするJKたちの実情だろうか?JKビジネスが存在するということは、供給があるからだろう。

JKたちの困難な人生には、強烈なインパクトがある。



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