ペンの力 


 2018.6.16      言論弾圧と戦う組織 【ペンの力】

                     
ペンの力 (集英社新書) [ 浅田 次郎 ]
評価:2
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■ヒトコト感想
日本ペンクラブの前会長である浅田次郎と現会長である吉岡忍が対談をする。ペンクラブの存在意義や、今までの活動の歴史など、自分が知らないところでペンクラブというのは様々な活動をしてきたというのがよくわかる。さらに、ペンクラブは世界的な組織であり、言論弾圧に対して徹底抗戦する組織だというのがわかる。

忖度ではないが、もの言えぬ時代になることを恐れるペンクラブ。戦時中の日本の状況から言論弾圧が起きると何もよいことはない。ただ、弾圧されているその場では、弾圧だと一般人は気づかない可能性がある。たまに、ニュースなどでペンクラブが抗議声明を読み上げる場面を見たことがあるが、言論の自由を勝ちとるために必要な活動なのだろう。

■ストーリー
戦後七〇年間、暗黙のうちに、政治的な立場を表明せずに中立を保つことが作家のとるべき理想的態度とされてきた。だが、特定秘密保護法案やいわゆる「共謀罪」が可決され、言論の自由が岐路に立たされつつあるいま、「政治と文学」をめぐる従来的なスタンスは根本から問い直されている。

閉塞感にあふれた「もの言えぬ時代」の中で、日本ペンクラブ前会長・浅田次郎と現会長・吉岡忍が、もはや絵空事とはいえなくなった「言論弾圧」の悪夢に対して警鐘を鳴らした緊急対談。

■感想
ペンクラブはよく知らない。浅田次郎や阿刀田高が会長をしていたというのは知っていた。では、具体的にどんな活動をしていたかというと…。元会長と現会長が自分の小説家としての原点を思い出しながら対談を行う。

浅田次郎のエッセイとは真逆なひどくまじめで肩がこる内容であることは間違いない。ギャグ的な要素はひとつもなく、ユーモアもほとんどない。まじめにペンクラブの歴史や役割を対談している。なんとなく、少しくらい浅田次郎のエッセイ要素が入るかと思っていたのだが…。

ペンクラブは歴史的に重要な転換期に、その役割を果たしてきたらしい。戦時中では、どれだけ言論の自由があったのかわからない。ただ、戦地におもむき、そこで安くない給料をもらいながら戦争を賛美するような記事を書いたりもしたのだろう。

言論弾圧に対しても、世論の流れというのがあるので、どこまでペンクラブとして一本筋の通った活動ができるのかがカギとなるのだろう。現代が特別もの言えぬ時代だとは思わない。ただ、一般大衆が気づかないうちに、自由に発言できない時代になるのだろう。

ペンクラブの歴史を紐解くと、重要な場面では必ず何かしらアクションを起こしている。言論弾圧につながるような法案ができそうな場合は、すぐさま反応し記者会見を開く。「共謀罪」なども、一歩間違えると言論弾圧につながりかねない。

「政治的な圧力」とは無縁の組織だが、どこかで忖度があるような気がしてならない。日本のペンクラブがドライに政治とは切り離された活動をできるのか。今後、報道などで日本ペンクラブが登場した時には、そのあたりを注目してみてしまうかもしれない。

ペンクラブとは、非常に重要な組織なのだろう。



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