おまえの罪を自白しろ 


 2019.9.30      非常に子ズルい政治的な駆け引き 【おまえの罪を自白しろ】

                     
おまえの罪を自白しろ [ 真保 裕一 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
政治家のあざとい駆け引きと、身内を守るため党の公認を得るための姑息な立ち回りが描かれている。大物政治家の孫娘が誘拐された。犯人の要求は罪の自白。誘拐は身代金の受け渡し時が一番逮捕しやすい。それがない誘拐は解決がむずかしい。脅迫された宇田清治郎は自分の罪を自白するのか。

政治家の罪の自白は、そこに大きな意味を持つ。誰にその罪が波及するのか。場合によっては一族郎党すべてに影響する場合もある。清治郎の次男で秘書の男は、事件の真相を暴こうと動き出す。政治的忖度の話や、総理大臣にまで影響する自白など複雑な状況となっている。清治郎が最後に決断するのが、自分はダメでも息子に道を残すための動きをするということだ。

■ストーリー
衆議院議員の宇田清治郎は、総理がらみの疑惑を糾弾されていた。その最中、三歳になる孫娘が誘拐された。犯人の要求は、罪の自白!タイムリーミットは、翌日の午後五時。犯人の動機は宇田家への怨恨か。総理の罪を暴くことにあるのか。保身のための駆け引きを模索する官邸サイドと戦う宇田一族。幼き少女を救うための「家族の戦い」が始まる!

■感想
可愛い可愛い孫娘が誘拐された。政治家の宇田清治郎は犯人の要求を知りショックを受ける。罪を自白しろという要求は、明らかに自分のために孫娘が誘拐されたということだ。政治家の家系では家長の成功のために家族は協力するしかない。近所に対してもつつましい生活を見せ、常に笑顔で過ごす。

大物政治家の身内と知れると、それだけで大きなリスクがある。清治郎の秘書であり次男でもある男は、仕事で失敗しその借金を清治郎に肩代わりしてもらったことから秘書として仕事をしつつ、姪を救うために動き出す。

総理の知り合いの土地が埼玉の橋を作る事業の土地として選ばれた。清治郎は総理に依頼されたのかそれとも…。大物政治家が官僚に無言の圧力をかけ自分たちの思うように公共事業を動かした。よく報道で目にするパターンではある。

その場合、政治家は証拠が残る形ではっきりとした依頼はしない。そこは官僚側の忖度ということなのだろう。次男は政治的な観点から、父親を脅迫し失脚され、その被害が総理にまで及んだ時に誰が一番得をするかという観点で事件を調査し始める。

総理周辺が騒がしくなる。警察組織はマスコミと協定を結び、誘拐が報道されないよう捜査を続ける。特別な事情があれば罪をチャラにできる超法規的処置を法務大臣に依頼する清治郎。世論の反発を考え、あっさりと返事をしない者たち。

非常に小ズルい駆け引きが続く。政治家というのは言質を取られることを嫌がり、1つの行動があらゆるサインとなる。まさに一瞬の気の緩みも許されない世界だ。次男は独自の動きと情報網から犯人と思わしい組織を見つけ出すのだが…。

孫娘を助けるため、と言いつつも同時に保身も考える政治家だ。



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