2021.2.1 何度も過去を繰り返す【ミッション:8ミニッツ】
ミッション:8ミニッツ[ ジェイク・ギレンホール ]
評価:3.5
■ヒトコト感想
冒頭、列車爆破事件が起こる。その場に居合わせたスティーヴン大尉の混乱ぶりから、何かがおかしいというのがわかる。過去に戻るようで、そうでもない。人が死ぬ瞬間の8分間の記憶をたよりに過去のある時間へ飛び、そこで新たに発生するであろう事件の犯人を見つけ出そうとする。スティーヴンの状況は早いうちに想像できる。
スティーヴンは死にかけており、適正者が現れたので特殊なプログラムで過去に戻ることができる。なんどもミッションが成功するまで同じ過去を繰り返すのは「オール・ユー・ニード・イズ・キル」に近いものを感じる。決定的に異なるのは、過去ではなく記憶の場所へ戻っていることだ。いくら記憶上の過去を変えたとしても、現在に変化が起きることはない。ラストはその仮説を覆すオチとなっている。
■ストーリー
シカゴ行きの通勤列車が爆破され、乗客全員が死亡。米軍のスティーヴンス大尉(ジェイク・ギレンホール)は、政府の極秘ミッションとして、特殊なプログラムを用いて乗客が死ぬ直前8分間の意識に侵入し、爆破の犯人を暴いて次なるテロを阻止する任務を課せられる。何度も犠牲者の意識に送り込まれ、死んではまた甦る、という悪夢のような<8分間>を繰り返し、少しずつ犯人に近づいていく一方で、スティーヴンスの心には次第に疑惑が膨らんでいく。
爆破を防ぐことで乗客の命は救えるのか?そして、なぜ自分がこの特殊任務に選ばれたのか?事件の真相、そして秘められた謎と禁断の事実に迫っていく彼を待ち受けていたのは…。
■感想
シカゴで爆弾テロが起こる。その前段として列車爆発事件が起きたのだが…。列車が爆発する前に戻り、犯人につながる手がかりを探すことがスティーヴンのミッションだ。スティーヴンとは似ても似つかない人物になり、列車内を調査する。
何度も時間切れで失敗したり、犯人を間違えたために、周りから妨害されたり、スティーヴンのミッションはうまくいかない。このあたり、「オール・ユー~」と同じように、繰り返すことで知識と経験が蓄積され少しづつだが前にすすんでいるというのがよくわかる。
特殊プログラムの仕組みは複雑だ。死の直前の記憶を頼りに過去に戻る。普通に考えると記憶外の部分は何も存在しないはずなのだが、スティーヴンは列車の別の車両に移動したり、勝手に列車を降りたりもする。
もはや、死の直前の記憶ではなく、ただ、その時間にしおりのようなものを挟んで、いつでもそこに戻ることができるというような感じだ。ラストではスティーヴンはこの架空の過去の中で、メールをうったりもする。そのメールは誰に届くのか。。。列車事故が未然に防がれたパラレルワールドが存在するのは良い。
スティーヴンが死んだ状態で特殊プログラムが設定されたのは早いうちにわかる。そこから、スティーヴンは過去に生きようとする。ただ、システムが起動している限り、スティーヴンは8分経つと元に戻されてしまう。スティーヴンは死を願う。
ここで観衆は死にどういった意味があるかは理解できない。ラストでスティーヴンは列車の爆破を防ぐ。鮮やかな動きで全てを制御し、列車内に平穏を取り戻すのだが、そこから8分経っても戻らない。これはスティーヴンが死んだということなのだろう。
架空の過去に生きることができたので、スティーヴンは幸せなのだろう。
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