2016.12.24 クリアできないゲームを永遠とやらされる気分 【オール・ユー・ニード・イズ・キル】
■ヒトコト感想
日本の小説が原作の作品。小説は未読だが、小説を原作としたマンガは読んだ。主役がトムクルーズということで、主役が少年から将校へと変化しているが、これが妙に合っている。広報役の将校が突然戦場へと送りこまれる。ケイジは戦闘経験ゼロなので、当然すぐに死んでしまう。が、その瞬間、出撃前日へ戻っていた。まるでゲームのように死んだら特定の時間へ戻る。
ただ、記憶や経験はそのまま引き継げるので、何百回と死ぬことで経験を積み戦場で大活躍することになるが…。ケイジだけでなく、過去にもケイジと同じように時間が戻る経験をしたリタがいることがポイントだろう。世界を救うために、何度死のうと繰り返しチャレンジする。ある意味拷問のような状況だ。
■ストーリー
謎の侵略者“ギタイ”からの激しい攻撃で、滅亡寸前に追い込まれた世界。戦闘スキルゼロのケイジ少佐は最前線に送り込まれ、開戦5分で命を落とす。だが次の瞬間、彼は出撃前日に戻っていた。その時から同じ日を無限に繰り返すケイジ。やがて彼は最強の女性兵士リタと出逢う。
ケイジのループ能力が敵を倒す鍵になると確信したリタは、彼を強靭な“兵器”に変えるべく、徹底的に鍛え上げる。“戦う・死ぬ・目覚める”のループを繰り返すことで別人のように成長したケイジは、世界を、そしてかけがえのない存在となったリタを守りきることができるのか──?
■感想
戦闘スキルゼロの広報担当の将校であるケイジが戦場へ送られる。悪夢のような状況で戦場へと放り出される。ふとしたことからケイジが偶然倒したギダイに秘密があり…。死んだとしても戦闘の前日へと戻るループ能力を手に入れたケイジ。
まるでゲームのように、死んでも無限にコンティニューができる。最初はオドオドしていたケイジも、繰り返し同じ戦場を経験することで、パターンを覚え成長し戦場で活躍し始める。それでも最後は死んでしまう。このあたり、まさしくクリアできないゲームを永遠とやらされている気分なのだろう。
過去にループを経験したリタとの出会いがケイジを変えることになる。ギダイの親玉を倒せばこの状況から脱出できる。ケイジからすると死と戦場をくりかえす拷問のような状況から、いち早く脱出したいのだろう。ループからの脱出か、地球をギダイから守るのか。
一石二鳥的なイメージで語られてはいるが、ケイジはもしかしたらあっさりと死んでしまうことを望んでいたのかもしれない。リタと協力し良いところまでいくのだが、最後は死んでしまう。永遠にループをくりかえす面白さと、先の展開が読めない引きの強さがある。
ラストの流れは秀逸だ。必ずリタが死ぬので、ケイジは最初からリタに会わずひとりで行動することを選ぶ。それにより負担は大きくなるが、うまくいった場合にはリタが生存することになる。リタのいない未来を悲しむケイジ。
そして、ケイジのループ能力がなくなり、緊張感が高まると、ラストはお決まり通りの展開となる。が、そこでまた大きく時間が戻る。この戻り方が良い。ギダイにめちゃくちゃにされることをケイジが救ったということなのだろう。何も知らないリタと全てを知るケイジが出会う瞬間は感動的だ。
ハリウッド的ではあるが、トム・クルーズに合った脚本となっている。
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