2018.5.26 災難続きの御子柴くん 【御子柴くんと遠距離バディ】
御子柴くんと遠距離バディ (中公文庫) [ 若竹 七海 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
御子柴くんシリーズ。御子柴が行く先々で様々な事件に巻き込まれる。連作短編集としての面白さがある。中堅刑事となり平和な日常をすごしていた御子柴だが、災難に巻き込まれる。長野県警と警察庁の間にはさまれる形となった御子柴。職務中に負傷し、傷がいえたころには、名誉職である地域生活安全センターのセンター長になったりもする。
ミニパトで空き巣に注意のアナウンスを流して街を移動したり、様々な業務に対応することになる。ひとつひとつの事件はそれほどでもないのだが、連作短編としての面白さによりミステリアス感を高めている。表題作でもある「遠距離バディ」では、後輩である竹花との連携がクローズアップされているので、長野と東京の連携感がよくでている。
■ストーリー
長野県警から警視庁へ出向中の御子柴刑事。すっかり東京のペースにも慣れ、刑事としても中堅どころになり、わりあい平穏な日々を送っていた。だが、その油断がたたったのか、年末押し迫ってから行く先々で事件にぶちあたり、さらには凶刃に倒れてしまう!
相棒の竹花刑事は御子柴の死を覚悟するが……。
■感想
東京で活躍した御子柴が「御子柴くんの災難」で襲われ怪我をする。その結果、はれ物に触れるような扱いをされ、大した仕事がない長野の地域生活安全センターのセンター長という役割を得る。県警と警視庁の組織同士の権力争いに巻き込まれることになる。
ミステリー事件としては、メインの事件とは別にサブの事件がいくつか発生し、結局のところメインの事件とのつながりが明らかとなる。名探偵役がいるわけではなく、トリックが複雑であるわけでもない。人間関係で事件の真相が明らかとなる。
「御子柴くんと春の訪れ」では、センター長としてやりがいのない広報車による注意喚起の仕事をすることになる。そこでペアを組んだ女性とひたすら空き巣の注意を行っているさなかに連続の空き巣事件が起こる。靴のサイズが一緒ということで、同一犯と判断する。
単純な空き巣事件ではなく、複雑な状況が入り混じる。金目のものがとられていない理由や、犯人が空き巣に入った理由など、それなりにインパクトのある展開であることは間違いない。
「遠距離バディ」は、東京で起こった殺人事件であるカフェの店長のネクタイが凶器に使用され、竹花はリストから店長の経験者に片っ端から話を聞きにいくが…。カフェの店長のブラック具合が強烈に描かれている。そして、その先ではカフェの関係者やエリアを管理していた者が犠牲者となる。
竹花と御子柴の関係がよい。竹花にいじめられてという噂をたてられた御子柴は、常に貧乏くじを引いているようで、重要なポイントでは、うまく手柄をたてている。
御子柴はおいしいところだけかすめ取っているような感じだ。
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