ミッドナイト・ガイズ


 2018.4.18      しょぼくれたギャングが良い 【ミッドナイト・ガイズ】

                     
ミッドナイト・ガイズ [ アル・パチーノ ]
評価:3

■ヒトコト感想
老ギャングのヴァル。28年の刑期を終えて出所し、仲間のドクに迎えられる。ヴァルのはじけっぷりはすさまじい。28年間、禁欲の生活を続けていたのだから当然だろう。出所したヴァルを楽しませる役のドクだが、ボスからはヴァルを殺せと命じられる。

期限は翌朝の10時まで。ヴァル役のアルパチーノは、落ちぶれた老ギャングの役がすこぶる似合う。「フェイク」でも感じたことだが、しょぼくれた身なりと表情は最高だ。ドクに事情を説明されてからのヴァルは強がるが、そのしょぼくれ方もまた良い。

■ストーリー
28年の刑期を終えて出所したギャング、ヴァル(アル・パチーノ)は、ギャング仲間のドク(クリストファー・ウォーケン)と再会を果たす。彼らは久しぶりの再会をうが、ドクは彼らのボスであるクラップハンズ(マーク・マーゴリス)に、ある難題を押し付けられていた。それは、“翌朝の10時までにヴァルを殺す"こと。しかし、ヴァルを目の前にしたドクはその事実を打ち明けてしまう。

そこで二人はスポーツカーを盗み3人目の仲間、ハーシュ(アラン・アーキン)を連れ出し、久しぶりに3人でひと暴れしようと企む。人助けや警察とのカーチェイスを楽しむ彼らだったが、約束の時間は刻々と迫っていた――。

■感想
ヴァルとドクの関係性が全てだろう。ヴァルは残り少ない時間を楽しもうと食べたい物を食べ、抱きたい女を抱く。昔の仲間と合流するとたちまち警察との激しいカーチェイスとなる。まさに翌朝には死が待っているからこそ、この世に後悔を残さないために精一杯遊びつくしているという感じだ。

ドクはヴァルのはじけっぷりを眺めながら、どうにかヴァルを助ける手段はないかと考える。覚悟を決めたヴァルの表情は、人に同情心を起こさせる効果がある。観衆はヴァルの最後を見たいようで見たくない状態となる。

ヴァルの中では死ぬ覚悟ができているはずだ。ただ、ドクだけがボスに対して交渉し、なんとかヴァルを殺さずにすます方法を考える。ヴァルが最後の晩餐を楽しんでいるが、ドクはつきあいながらも、どこか物悲しい表情をしている。

ボスの手下たちがドクに対して早く決着をつけろと迫る。老ギャングであるはずのヴァルとドクだが、若い者には負けるつもりはさらさらなく、自分の意思を主張する。想定するラストの流れとしては、ヴァルが殺されるか、ドクもヴァルも死ぬかのどちらかだと思った。

服屋に忍び込んで、自分に似合うスーツを手に入れる。死ぬ前に最後にオシャレをしようと考えるのか。黒いスーツでビシっと決めた姿でボスの元に向かうヴァルとドク。「フェイク」のような物悲しい終わり方ではない。

ある意味想定外の終わり方だが、これまでのヴァルとドクの行動を見ていると、このパターンもありえると思えた。強烈なインパクトはないのだが、アルパチーノのしょぼくれたギャングがすばらしい。ヴァルの落ちぶれ具合がすごければすごいほど、物語はすばらしいものになっていく。

強烈なインパクトはないのだが、ヴァルの落ちぶれ具合が良い。



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