マスカレード・ナイト 


 2018.9.28      ホテルのゲストのそれぞれの事情 【マスカレード・ナイト】

                     
マスカレード・ナイト (マスカレード) [ 東野 圭吾 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
マスカレードシリーズ。ある事件の犯人がホテルのカウントダウンパーティに参加するというタレコミが入ったため、刑事がホテルマンに扮して張り込むことになるのだが…。シリーズ定番の尚美と新田や能勢が登場し、ホテルに泊まる人々の様々な事情と事件に絡む複雑な状況は物語をミステリアスな展開へとすすめていく。

今回のポイントは、ホテルのゲストそれぞれの事情がかなり特殊ということだ。プロポーズに失敗したが、すぐにホテル内でめぼしい人を見つけ近づきたいと言い出す男。明らかにひとりなのに、夫婦を装う女。新田は刑事の目で、尚美はコンシェルジュの目線でお客を見る。本作を読むと、コンシェルジュの仕事はつくづく大変だなぁと思わずにはいられない。

■ストーリー
若い女性が殺害された不可解な事件。警視庁に届いた一通の密告状。犯人は、コルテシア東京のカウントダウンパーティに姿を現す!?あのホテルウーマンと刑事のコンビ、再び。

■感想
女性が殺された事件に対するタレコミが入る。その内容はコルテシア東京のカウントダウンパーティに犯人がやってくるということだった。ホテルに犯人がやってくるということで、新田に白羽の矢が立ち、またまたフロントマンとして活躍する。尚美はコンシェルジュとして客のあらゆる要望に応えようとする

コンシェルジュは「無理です」とは決して言わない。客のどんな無茶な要求だろうと、尚美はあらゆる手を尽くして客を満足させようとする。世間のコンシェルジュも同じ考えでいるのだろうが、とてつもなく大変な仕事だ。

ホテルコルテシア東京のカウントダウンパーティに参加する者たちは、様々な事情を抱えている。パーティが仮装パーティ形式というのもポイントなのだろう。資産家ではあるが、プロポーズに失敗した日下部という男は、コンシェルジュ泣かせな要望を次々とだしてくる。

となると新田たち刑事も日下部に注目せざるお得ない。また、夫婦ふたりで宿泊予約されているが、夫の姿がまったく見えない女など、奇妙な宿泊客が新田たちを混乱させる。

個別の客のエピソードは、事件の本筋と無関係かと思いきや…。実はどのエピソードも事件に関係しているというのがすばらしい。ミステリー的などんでん返しはないのだが、驚きはある。事件の動機や、トリックについてはどうも消化不良の感はあるが、それでもホテルを舞台にした二転三転する物語はすばらしい。

2時間ドラマにするのに調度よい密度かもしれない。マスカレードシリーズとして、尚美はコンシェルジュの立場で、新田は刑事の立場で見るべきポイントが違うのも面白い。

強烈なインパクトはないのだが、シリーズとしての面白さは凝縮されている。



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