旧友再会 


 2019.12.31      学生時代の序列は変化していく 【旧友再会】

                     
旧友再会 [ 重松 清 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
学生時代の友達と再会する短編集。50近くになってからの再会であれば、それぞれの事情も異なってくる。子育てや離婚、介護や定年など人生経験をつんだ者たちは、どのような思いで再会するのか。タクシーの運転手と客というシチュエーションや息子の野球部の臨時監督という場合もある。また、定年した父親の再会を息子が知るというパターンもある。

学生時代の序列がそのまま大人になっても通用するはずはない。それでも関係性は昔のままなのだろう。大企業に就職したは良いがその後の人生がめちゃくちゃになるパターンもある。誰もが幸せ真っただ中というわけではない。50近くになれば、何かしら問題を抱えているということなのだろう。人生の機微を感じさせる流れだ。

■ストーリー
子育て、離婚、定年、介護、家族、友達。人生には、どしゃぶりもあれば晴れ間もある。重松清が届ける5つのサプリメント。年を重ねると増えていく「再会」の機会。再会は、別れがあるから存在します。どう別れたかで、再会の仕方も変わってくる。会いたい人、会いたくない人、忘れていた人。《結婚もして、子どもをつくり、そして、いま、家族をなくした。》あなたならどんな再会を望み、何を伝えますか。

■感想
「旧友再会」は表題作でもあり、オーソドックスな旧友再会の物語だ。田舎でタクシーの運転手として仕事をする男と、東京でバリバリやっていた男が親の介護のために田舎へやってきた。運転手と客という関係はなかなか難しい。嫌な旧友でも乗せないわけにはいかない。

相手がどのような思いで田舎に帰ってきたのかを考えなければならない。強烈なインパクトはないのだが、それなりに心に響くものがあるのは間違いないだろう。

「ホームにて」は、定年を迎えた父親を、息子がどのような目線で見ているかの物語だ。父親が突然定年したあと、蕎麦屋に就職したいと言う。それも、駅のホームなどにある蕎麦屋だ。

蕎麦屋に再就職しようとする父親のことを息子はどう思うのか。そして、父親が病んでいる若いサラリーマンに勇気を与えたと知ると息子はどう思うのか。再会のパターンはいろいろとあるが、この物語は新興住宅地開発に失敗した者が、その最寄り駅で蕎麦屋をやり、昔の戦友たちと再会する物語となっている。

「どしゃぶり」は強烈なインパクトのある作品だ。中学生の息子の野球チームに同級生がひょんなことから臨時で監督をやることになる。今までは弱くてもみんな仲良く楽しい野球部という流れだったのが、臨時監督により勝つために容赦ないスパルタが待っていた。

実力主義でうまければ3年よりも2年を優先する。主人公の息子は補欠で2年の中に入っても中盤の実力しかない。保護者たちは最後だからとみんなを試合に出させたいと考える。親の希望や子供たちの考え方、そして監督としてどうあるべきか。非常に心が痛くなった。

アラフィフのおやじたちには心に染み入る作品かもしれない。



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