今昔百鬼拾遺 河童 


 2019.11.11      河童が中年男の尻子玉を抜く? 【今昔百鬼拾遺 河童】

                     
今昔百鬼拾遺 河童 京極夏彦
評価:3
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■ヒトコト感想
久しぶりの京極夏彦の妖怪シリーズだ。まるで妖怪が起こしたような事件が起こるが、実際には人間が事件を起こしていた。今回は河童がテーマとなっている。河童のイメージから始まり、河童が生み出された起源なども語りつつ、事件が河童の仕業のような流れとなっていく。

河童が尻子玉をとるということで、事件の被害者たちは皆ズボンを脱がされ尻が丸出しとなっている。その前段には中年のオジサンを覗くという事件が起こる。なんだかよくわからないまま、後半では怒涛のタネ明かしがある。妖怪研究家の多々良と京極堂の妹である敦子が謎を解き明かす。京極堂が謎解きをする京極堂シリーズの長編作品が出版されないが、雰囲気は近いかもしれない。

■ストーリー
昭和29年、夏。複雑に蛇行する夷隅川水系に、次々と奇妙な水死体が浮かんだ。3体目発見の報せを受けた科学雑誌「稀譚月報」の記者・中禅寺敦子は、薔薇十字探偵社の益田が調査中の模造宝石事件との関連を探るべく現地に向かった。第一発見者の女学生・呉美由紀、妖怪研究家・多々良勝五郎らと共に怪事件の謎に迫るが―。山奥を流れる、美しく澄んだ川で巻き起こった惨劇と悲劇の真相とは。百鬼夜行シリーズ待望の長編!

■感想
奇妙な水死体は河童の仕業ではないか。ありえないことだが、物語を読んでいくと河童以外に犯人はありえないと思えてくる。川にズボンを脱がされた中年男の水死体が続けて浮かび上がる。河童が尻子玉をとろうとしたのか。

河童は当然ながら存在しないが、河童が生み出された経緯などが語られている。また、地方によって河童の姿かたちが変わるというのも語られてる。怪事件ではあるが、冷静に見ればそこまで奇妙なわけではない。中年男のズボンを脱がす必然性がないため奇妙な印象となっている。

多々良や敦子が事件の謎を解く。事件の前段には、中年男のトイレや風呂を覗くという事件が起こる。これまた必然性が不明ではあるが、作中ではそのような趣味の人もいるのだろう、と濁されている。物語のポイントは、奇妙な事件というよりは理由がわからないから気になるという感じだ。

河童と事件を絡め、関係者たちが、実は次々と死んでいた。そんな中でひとりの男が犯人の可能性があるということになるのだが…。常識ではありえないような部分を多少おりこみながら物語を成立させている。

事件の真相は、妖怪と思わせておきながら現実的なオチとなる。ただ、そこにも奇妙な偶然が合わさることになる。水死体は全てある目的のために池に潜った者たちの死体だった。どれだけ素潜りが達者な者であってもその池に入ると溺れてしまう。それはなぜなのか…。

敦子や多々良はそのあたりのからくりを理解し、金に目がくらんだ者だけが無謀なチャレンジをする。ごく普通のミステリーでは、池に科学的な何かがあるという流れなのだが、京極夏彦らしい仕掛けが池には存在している。

京極堂シリーズまでとは言わないが、妖怪をテーマとした作品の面白さがある。



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