機動警察パトレイバー2 劇場版


 2022.2.20      仮に日本で首都を狙うテロが起きたら…【機動警察パトレイバー2 劇場版】

                     
機動警察パトレイバー2 the Movie
評価:3.5

■ヒトコト感想
前作と同様にかなり昔の作品ではあるが、とてつもなく魅力的な作品だ。自衛隊の実戦部隊がテロを起こす。その目的は日本の破壊や政治的な主張ではなく、日本の戦争への危機感のなさを警告するためだった。いきなり正体不明の自衛隊機が横浜ベイブリッジを破壊する。その後、レイバーが保管されている倉庫が攻撃ヘリで破壊され、各所の通信アンテナが破壊される。

日本の首都があっさりと陥落するほどの破壊工作が可能だと表現している。それらを裏で調査するのは第2小隊の隊長だ。謎の有識者荒川からの情報を頼りに事件の首謀者を逮捕しようと動き出す。政府のお偉いさんや自衛隊の上はことなかれ主義を貫くが、すでに戦争は始まっていた。とてつもなく興奮する物語だ。

■ストーリー
2002年冬。横浜ベイブリッジに謎のミサイル投下…!報道はそれが自衛隊機であることを告げるが、該当する機体は存在しなかった。これを機に続発する不穏な事件は警察と自衛隊の対立を招き、事態を重く見た政府は遂に実戦部隊を治安出動させる!! 東京に〈戦争〉を再現した恐るべきテロリストを追って、第2小隊最後の出撃が始まる!

■感想
謎のミサイルにより横浜ベイブリッジが攻撃され破壊される。海外のテロ組織か?もしくは米軍かと思われたのだが…。実際には自衛隊だった。自衛隊内部のカリスマ隊長が自分の部下たちを率いて日本に対してテロを仕掛ける。

なぜそのようなことになったのかは詳しくは語られないが、冒頭での戦争の真実を知ったことで、日本の現状に危機感を覚えたのだろう。第2小隊の隊長は荒川からの情報から目的を推理する。高度に政治的な会話もあれば、自衛隊の理不尽さを嘆く会話もある。大人のアニメだ。

第2小隊のもう一人の隊長である忍とテロ組織の隊長は知り合いだった。というか、忍は無謀な行動を止めようとするのだが…。複雑な人間関係が描かれている。前作はどちらかと言えば、第2小隊の隊員たちがドタバタしながら謎のコンピュータウィルスと戦う物語だ。

本作は、相手の心理を読み政治的な判断もありつつ、大人の立ち居振る舞いをする。その証拠に隊長だけが活躍し、隊員たちはラストの敵の本部へ押し入る場面にのみ登場してくる。それでも十分パトレイバーとしての面白さは表現されている。

前作がコンピュータウィルスで今回は自衛隊のテロ。どちらももしかしたら、という思いにさせる。特に平和ボケした日本に警告を鳴らす意味で、毒ガスに見せかけた色付きのガスを撒くなど、まさにもしテロが起きたらを仮想している。

敵の本部内部では、ボスにまで到達するのは大変だが、ボロボロのレイバーでボスまでたどり着いたあとは、あっさりとしている。それまでのテロの周到さからすると、逮捕されてからは何も策がなかったのだろうか。

ストーリーも絵柄も演出もすばらしい作品だ。



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