回想のビュイック8 下 


 2021.4.27      ビュイックがつなぐ異世界が明らかに 【回想のビュイック8 下】

                     
回想のビュイック8(エイト) 下巻 / スティーヴン キング
評価:2.5
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■ヒトコト感想
上巻から引き続き、ガレージにあるビュイック8について、過去の出来事が中心に語られることになる。何か大きな変化があるかというと、そうではない。基本スタンスは上巻と変わらない。ビュイックの正体解明にとりつかれたネッドの父。現在のネッドは父親と同じようにビュイックに魅了されていく。ビュイックのトランクから新たに知能があると思わしき生物が登場してくる。

頭の中で想像したのは、全身がピンクい色のワカメのような化け物だ。口から酸をはいて犬の体内を焼いてしまう。そして、ビュイックが繋いでいた未知の世界を感じる場面もある。ビュイックを通じてこちらの世界に来た生物の姿からは想像できない特殊な世界かと思いきや…。そこには青空が広がっていた。。。

■ストーリー
少年は幾人もの父の元同僚警官たちの言葉に耳を傾け続ける。徐々に明らかになっていく忌まわしきビュイックの真の過去と、その正体に取り憑かれた在りし日の父の姿。ついに少年は長い長い一日の果てに、“魚の年”に起こった怪異と、D分署を襲った悲劇の日の物語にたどり着く。果たしてビュイックとは悪そのものなのか、それとも…?人生への深い洞察に溢れた、胸を打つ絶品。

■感想
ビュイックの秘密がどこまで明らかとなるのか。下巻では、ビュイックに対してネッドの父親がただならぬ執着を見せる描写から始まる。ビュイックに何か少しでも変化があると、ネッドの父親に知らせる必要がある。

ビュイックから次々と飛び出してくる奇妙な生物。極めつけは、ピンク色の知能があると思われる生物だ。こちらの世界に来た瞬間に、大気が合わないのか、苦しみ始める。ただ、最後まで苦しみながらも口から酸を吐いてのたうちまわる。その生物にとどめを刺したのは…。

過去の回想で、学校の近くで大爆発が起きた場面では、同じタイミングでビュイックから謎のピンクの生物が登場してくる。このカオスな雰囲気はすさまじい。警官たちは学校へ向かうのだが、一部の者だけは、ビュイックの処理に回る。

外には決してバレてはならない秘密。それを警官の車で護送されてきた犯罪者も見ていた。ただ、その犯罪者はその後行方不明となる。ビュイックに取り込まれて異世界へと飛ばされたのか。。。ビュイックの秘密は最後まで明らかになることはない。

ビュイックを経由しての異世界の描写が少しだけ登場してくる。こちらの世界とは大気がそもそも異なるのかもしれないが、イメージは暗黒の世界であった。それが青空に囲まれた世界であり、近くには警官の帽子と拳銃が落ちていた。

それはつまり、行方不明の者たちは、異世界に飛ばされたという証拠なのだろう。この異世界でどれだけの時間生きることができたのか。そして、生きたまま殺されたのか、それとも。。。結局のところビュイックの秘密は何も説明されない。

こんな不思議な物語を描ける作者はすさまじすぎる。



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