2021.3.20 闇の世界との出入り口となる車 【回想のビュイック8 上】
回想のビュイック8(上)
評価:3
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■ヒトコト感想
倉庫に眠る車ビュイックをめぐる物語だ。新米警官のネッドが父親も勤務した警察署で衝撃的な出来事を聞く。ネッドの父親は事故死した。その原因となったと思われる謎の車ビュイック8。古くから倉庫に眠るビンテージカーでしかないのだが、ビュイックには大きな秘密があった。。男がフラリとガソリンスタンドに乗り付けたビュイック。
誰もそのビュイックが動いているところを見ていない。そして、調べると車として動く機能がいっさいない。傷をつけても自然に修復する謎の車。トランクからはこの世界では存在しない謎の蝙蝠のような生物までもが飛び出てくる。謎の世界との扉かわりとなっている車。下巻ではビュイックとネッドの父親の関係性がより深く語られるのだろう。
■ストーリー
少年は父を亡くした。ペンシルヴェニア州の田舎町で堅実に警官を務めていた父を、突然の悲劇で。悲しみに打ちひしがれた少年に笑顔が戻ったかに見えたその日、父の元同僚たちは信じがたい話を語り始める。署の外には決して洩らせぬ秘密、倉庫に眠る謎の車ビュイック8(エイト)の存在と、息子の知らぬ父の意外な過去を…。練達の語り部キングが冒頭から引きずり込む、絶妙の開幕。
■感想
ピカピカのビンテージカーが警察署の倉庫に眠っていた。それを見つけたのは新人警官のネッドだった。いわくつきのビュイック。ネッドの父親たちの同僚がビュイックの因縁について語る。作者が得意の闇の世界とのつながりの物語だ。
序盤からビュイックがガソリンスタンドにやってくるのだが、運転手はどこかに行方不明となる。放置されたビュイックを警官たちが調べるが、車として動くために必要な動力が一切ない。インパネについてもほとんど飾りのようなもので、ハンドルに関しては船の舵のように巨大だ。
本作が恐ろしいのは、このビュイックが何かしら攻撃や呪い的な何かを示すことなく、ただそこにたたずむだけという部分だ。傷をつけても自然に傷が治ってしまう謎の車。まるで生き物のようでもあるが、外から見ると、普通のビュイックでしかない。
倉庫に眠るビュイックのことは、父親の同僚たちは警察署内部だけの秘密としている。監察官が調べたとしても、何も手がかりを得ることができない。そこにいるだけで不気味な存在感を放つ車。ビュイックの存在だけで恐ろしい雰囲気となる。
ビュイックはそこにたたずむだけでなく、時々青い光を発する。そして、突然トランクが開くとそこから蝙蝠のような怪物が飛び出してくる。地球の環境に合わないのか、すぐに死んでしまう怪物。その怪物をネッドの父親は解剖して調査しようとする。
ビュイックを媒介として闇の世界の出入り口になっているのだろうか。父親の同僚のひとりが突然行方不明となる。代わりに怪物がこちらの世界にくる。ビュイックを通して闇の世界へと入り込む展開があるのだろうか。。
下巻での流れが気になる作品だ。
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