オリンピックへ行こう! 


 2018.10.6      マニアックな競技でオリンピックを目指す 【オリンピックへ行こう!】

                     
オリンピックへ行こう! /講談社/真保裕一
評価:3
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■ヒトコト感想
オリンピックを目指すアスリートを描いた作品。ただ、競技がマニアックだ。卓球、競歩、ブラインドサッカーとなっている。卓球は日本人も活躍しているのでイメージができる。競歩もなんとなくわかるが、ブラインドサッカーもオリンピックの競技ということに驚いた。卓球がもっともページ数がさかれており中編となっている。競歩とブラインドサッカーは短編だ。

作中では日本代表の候補になることすら、とんでもなく高い目標のように描かれている。実際に一般人が目にするオリンピック選手は、結果がでていないとダメなイメージがある。しかし、その競技に関しては日本でトップなのでオリンピックに参加しているということだ。本作を読むと、そのあたりが実感できる。

■ストーリー
大学卓球チーム内の軋轢や友情、競歩ランナーの孤独、サッカー選手の挫折と希望、各種目で日本代表を目指すアスリートを描く応援小説

■感想
卓球というと、ここ最近日本人も世界で活躍しているのでイメージしやすいだろう。本作ではそんなオリンピック選手ではなく、その候補にすらなれない競技者を描いている。ただ、作中では卓球に対するとんでもない熱量が描かれている。

トーナメントで勝ち上がることの難しさ。日本代表の候補になることの難しさ。企業スポーツとしてチームではエースでも世界で戦えなければ、その先がない。競技者として卓球を続けるために必死になる姿は、競技者のすそ野の広さを感じずにはいられない。

一般人が目にするオリンピック代表選手というのは、その競技に関しては雲の上の存在なのだろう。世界で結果がだせないとしても、日本ではトップ。当然、その下には何千人もの敗れ去った競技者がいる。本作では、そこに焦点が当てられている。

競歩などは、なぜ競歩なのか?という疑問もわいてくる。単純に競技の問題だけでなく、プライベートも交えながらの物語となっている。勝つためにはなんでもするのか。外部からの妨害や、誹謗中傷もある。そんな状態での競技生活の困難さも描かれている。

ブラインドサッカーは特殊だ。競技としてどのようなものかはなんとなくわかっていた。プレイヤーにしても、生まれてから全盲なのかそれとも後天的なのかによってかなり有利不利があるようだ。

後天的に目が見えなくなった元サッカー経験者は、ボールの扱いはなめらかだが、ブラインドサッカーのプレイヤーとしては未熟である。そこにどのような問題があるのか。ブラインドサッカーをメインとした小説作品はおそらくないだろう。珍しいのは確かだ。

割とマニアックな競技ばかりが選ばれた作品だ。



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