2020.9.1 癌の奥さんとの時間を大事にする達人【イップ・マン 継承】
イップ・マン 継承
評価:3
■ヒトコト感想
イップ・マンシリーズ第3弾。本シリーズの特徴は主役であるイップマンが礼儀正しく正義の味方であり武術の達人でありながら、奥さんには立場が弱い、ごく普通のお父さんだという部分だ。本作ではゲストとしてマイクタイソンが登場し、小学校を地上げする西洋企業のボスとして君臨している。
タイソンとイップマンの対決はどちらにも花をもたせるためか、決着がつかず終了している。物語としては詠春拳の正統を決める対決があるのだが、これも、地上げ屋から小学校を守るために一緒に戦った男との最終対決となっている。メインは奥さんとイップマンの関係だろう。それまで武術一筋であった男が、奥さんが癌と知り、奥さんとの関係を見直す物語だ。
■ストーリー
1959年。好景気に沸く香港は、その一方で、無法地帯になりつつあった。裏社会を牛耳る最凶の不動産王・フランクによる暴挙から町を守るため、静かな達人イップ・マンは立ち上がる。だがそれは、自身の家族をも命の危険にさらすことを意味していた。さらには、武術“詠春拳"の正統をめぐって挑まれた死闘・・・。果たしてイップは、人生において最も大切なものを見出し、守り、伝えることができるのか?
■感想
イップマンシリーズの面白さに満ちている。達人でありながら礼儀正しく控え目で周りからの人望も厚い。小学校が、裏社会の西洋企業に地上げされようとすると、イップマンとその弟子たちは積極的に小学校を守ろうとする。
ここで、強引な手段で小学校を手に入れようとするチンピラたちに、イップマンは圧倒的な力で対抗している。もはやイップマンに一対一で対等に戦える者は存在しないと思われていたのだが…。ここで同じく小学校を守ろうと奮闘する詠春拳の使い手の男と出会う。この男と最後に戦うのだというのは容易に想像できた。
裏社会の企業のボスとしてタイソンが登場してくる。身長は低いのだが体の厚みが違う。イップマンとの対決シーンでは、ボクシング技術を駆使してイップマンと互角に戦っている。ただ、条件として3分間持ちこたえられれば見逃す、というのがあり、結局のところ互角で終わっている。
さすがにタイソンなので、イップマンに無様に負けるというシーンを描くわけにはいかなかったのだろう。本作のメインは詠春拳の男と、どちらの詠春拳が正統かを争う戦いとなっている。
印象的なのは、武術の達人であるイップマンではあるが、奥さんには頭が上がらない場面だ。奥さんとのダンスの約束をすっぽかして怒られるイップマン。ごく普通のおやじといった感じだ。奥さんが癌だとわかると、それまで戦いに明け暮れていたイップマンは奥さん中心の生活をし始める。
詠春拳の正統を決める大事な戦いであっても、奥さんとの時間を大事にするためすっぽかし、奥さんと一緒にダンスを踊ったりもする。このあたり、イップマンの心の穏やかさが表現されている。当然ながら、後日の詠春拳同士の対決でもイップマンは勝利する。
シリーズとしてはまだまだ続く可能性を感じさせる流れだ。
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