いま生きる「資本論」 


 2018.7.15      資本論が簡単に感じる? 【いま生きる「資本論」】

                     
いま生きる「資本論」
評価:3
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■ヒトコト感想
「資本論」を読んだことがない。本作では佐藤優が有料の講義として「資本論」について語ったことがテキスト化されている。講義形式なので難しいことは語られていない。非常にわかりやすい内容になっている。「資本論」を読んだことがない人でもそれなりに読み進めることができる。作者の面白話術も含め、楽しく読むことができる。

特にソビエト赴任時代にマルボロが通貨の代わりになった例をだしながら、資本論での通貨の説明などに役立てている。今流行の仮想通貨は通貨として成立しているかなど、最新の情報と資本論を絡めるあたりもよい。資本論はかなり難解な本のはずだが、作者がわかりやすく説明してくれるので、楽しく資本論のエッセンスを学ぶことができた。

■ストーリー
ソビエト崩壊後、貨幣代わりに流通したマルボロから「一般的等価物」を語り、大使館にカジノ代をたかる外遊議員が提示したキックバックに「金貸し資本」のありようを見る。『資本論』の主要概念を、浩瀚な資料と自身の社会体験に沿わせ読み解きながら、人間と社会を規定する資本主義の本質に迫る。過労死や薄給のリスクに日々晒される我々の人生と心を守る、白熱のレクチャーによる、知の処方箋。

■感想
佐藤優が資本論についてわかりやすく講義している。資本論と聞くと非常に難解でとっつきにくいという印象がある。本作ではそれをわかりやすい内容に落とし込んでいる講義形式なので、合間にはギャグ的な要素もあり楽しく読むことができる。

ポイントは、重要な部分を作者が自身の経験を交えたエピソードとして説明してくれる部分だ。通貨の定義や仮想通貨は通貨となりえるのかや、ソビエト時代にマルボロが通貨代わりになったなど、面白エピソードを含めて楽しく語ってくれている。

講義なので当然宿題はある。それらのレポートについての論評もある。高い金を払って講義を受ける状態なので、当然ながら受講生はやる気十分だ。受講生のレポートについては、かなり勉強しているように思われる。

資本論がわかりやすく説明されており、資本論を勉強することで、自分のその後の人生に大きな影響があるような気がした。資本主義というのはどのようなもので、貨幣はどうやって成り立っているのか。仮想通貨が貨幣となりえないことや、信用の上になりたっているなど、非常に勉強になる内容だ。

作者の作品は小難しく読む人を選ぶ作品が多い。ある程度のバックグラウンドの知識がなければついていけないというのがあった。本作では資本論に対する知識はまったくないとしても、それなりに楽しむことができるだろう。

生きるために必ず必要とは思わないが、資本論を読むことで、それなりに有意義な人生を送れることだろう。人生に何か変化が必要な人や、何か新たな刺激が欲しい人は読んでみるとよいかもしれない。本作をきっかけとして、資本論を読みたいと思うかもしれない。

資本論が簡単に感じるかもしれない。



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