2020.2.18 北村薫のデビュー前作品が読める 【本と幸せ】
本と幸せ / 北村薫
評価:2
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■ヒトコト感想
北村薫のエッセイ集。本に関するうんちくや書評などが詰まっている。また自分の短編作品の中でのベスト12などもある。ファンにはたまらない作品だろう。ファンでもなんでもない人にとってはかなりハードルが高い作品であることは間違いない。書評にしても登場してくる本がそこまでメジャーなものではない。
どちらかというと古典や渋い作品ばかりだ。エッセイとしての面白さはある。作者の人となりがよくわかるというのもあるのかもしれない。まだ高校生の作者が描いたショートショートまである。作家として30年続けてこれたということは、もう大成功な部類だろう。落語だとか古典だとか、相変わらず自分にとってはついていけない部分があることは間違いない。
■ストーリー
作家デビュー30周年!近況がわかるエッセイ。秘蔵の初創作高校生のショートショート7篇公開。自選短篇ベスト12発表。全著作リスト。『読まずにはいられない』『書かずにはいられない』『愛さずにはいられない』「北村薫のエッセイ」3部作に続く最新エッセイ。特別愛蔵版。
■感想
作家北村薫のファンならば絶対に読むべき作品だろう。デビュー前の幻の作品あり、自選の短編ベストあり。普通の作家で、自分でベストの短編を選ぶなんてことがあるのだろうか。作者自身が良いと思った短編と、いち読者である自分が良いと思った短編の違いを考えるのも面白いかもしれない。
作者の好みはかなり古典に偏っており、人生の残り時間を考えると古典だけを読んでいたいなんてことを言う作者なだけに、自分とはかなり好みが異なっていると感じた。
作中では芸人である又吉について触れている部分がある。作家としてデビューし芥川賞を受賞したり。番組の企画で宣伝コピーを考えるくだりの部分はかなり楽しく読むことができた。やはりプロの作家からしても又吉は普通の芸人とは違う雰囲気があるのだろう。
番組内でのコメントにしても、自分が思ったことを適切に言語化し、それを外部に発信できるのはかなりの才能らしい。これは本を読むことによって鍛えられるのだろうか。本好きの自分としては気になる部分ではある。
最新エッセイやデビュー前の高校生の時に書いたショートショートが収録されている。これはかなり勇気がいることではないだろうか?プロの作家からすると、自分の未熟な作品を発表するなんてのは、人によっては許せないパターンもある。
まして、ショートショートはごまかしがきかない。内容的にも、正直よくわからない。「阿刀田高」のような切れ味鋭いショートショートではない。それを作者はわかっていながらも、どのような気持ちで本作に収録したのだろうか。
北村薫のファンであればはずせないエッセイ集だ。
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