2020.3.6 研究だけでなく、金を引っ張る力も必要【はやぶさ/HAYABUSA】
はやぶさ/HAYABUSA
評価:3
■ヒトコト感想
はやぶさが小惑星イトカワに着陸し、鉱物を採取し無事に地球へ帰還したことをドラマチックに描いている。このはやぶさをテーマとした作品は3作品ある。そのうち見たのは本作で2作品目だ。それぞれの作品には色があるが、本作は女性目線ではやぶさがけなげに頑張る姿をドラマチックにちょっと擬人化しながら描いている。
他の作品にない部分としては、はやぶさのプロジェクトに対する金の問題だ。成功し実績を出さなければ予算がでない。予算がでないと研究所のメンバメンバーの中で契約を解除しなければならないメンバーもでてくる。トラブルのたびに皆で協力しアイデアをだしながら解決していく。研究者は研究だけしていればよいわけではないのだろう。
■ストーリー
博士を目指しながら論文を書き続ける水沢恵のもとに、一本の電話がかかってくる。その声の主は宇宙科学研究所(現:JAXA 宇宙航空研究開発機構)の的場だった……2010年6月13日。小惑星〈イトカワ〉調査を目的に、2003年5月に日本から打ち上げられた小惑星探査機はやぶさが地球に帰還した。月以外の天体からサンプルを採取して持ち帰るというミッションは、NASAでさえ成し得なかった人類初の快挙だった。
7年間、60億キロにも及ぶ旅は、絶体絶命のピンチの連続。大きなプレッシャーと次々と降りかかるトラブルに、メンバメンバーたちはどのように立ち向かっていったのか……。
■感想
はやぶさの映画としては「おかえり、はやぶさ」をすでに見ている。数々のトラブルを乗り越え、諦めずに執念で地球へ帰還する。基本ストーリーは本作も同様だが、切り口が異なっている。本作はJAXAに勤務することになった女性研究者目線で物語が語られている。
はやぶさを飛ばすまでにどれほどの年月と苦労があったのか。20年前からというのは強烈だ。はやぶさの各部位でのチームに分かれて研究を続け、その成果がでるのは何年も先の話だ。とんでもなく長い年月の物語だ。
各チームでリーダーがおり、それぞれの個性が強い。それらをまとめるPJマネージャはやはり相当な苦労があるのだろう。PJマネージャの決断ですべてが決まる。そして、PJマネージャは広報活動や、予算をとるための活動もしなければならない。
この作品独自の部分かもしれないが、研究者たちは契約制で、予算が削減されれば契約解除される可能性もある。はやぶさの打ち上げに成功した瞬間に、打ち上げるために注力してきた契約社員たちは、あっさりと切られてしまう。これはかなり厳しい世界だ。
着陸に失敗し、もう一度チャレンジするのか。通信が途絶えたらどうするのか。そのたびにPJマネージャはアイデアをまとめ決断をする。本作を見て伝わるのは、PJマネージャのとんでもなく重い責任だ。様々なトラブルが発生するたびに、もうダメだろうと感じてしまう。
諦めない気持ちは「おかえり、はやぶさ」でも感じた部分だ。地球にはやぶさが無事に帰還した時、カプセルが見つかった時には思わず涙が出そうになる。かなり感動を呼び起こすシーンだ。
とんでもない苦労を積み上げてきた、というのが伝わってきた。
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