ハリー・ポッターとアズカバンの囚人


 2020.11.16      物語のカギをにぎる逆転時計【ハリー・ポッターとアズカバンの囚人】

                     
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人/J.K.ローリング/松岡佑子
評価:3

■ヒトコト感想
ハリーポッターシリーズ第3弾。前作までの魔法学校での成長物語から、だんだんと恐怖の要素が強くなっている。ハリーの両親を死に追いやった凶悪犯シリウスがアズカバン刑務所から脱獄した。シリウスを追う恐怖の元凶。ハリーは魔法学校での日常を過ごしながら、それぞれの人物たちの出自がクローズアップされている。ハリーの周辺では様々な出来事が起きる。

本作のメインはシリウス関係の話と、それに関連してハーマイオニーが時間を戻す力を使い、ハリーがピンチになった状況を脱するという場面だ。複雑な物語の中に、ハリーの成長度合いがかなり上がっていることがはっきりとわかる。強烈なインパクトはないのだが、新しく登場した先生がカギとなるのが毎回のパターンだ。

■ストーリー
13歳になったハリーを待ち受けるのは、かつてない危機と驚愕の真実。両親を死に追いやった凶悪犯シリウス・ブラックの脱獄に迫り来る恐怖。不吉な死の予言さえ告げられる中、ハリーが直面する両親の死の真相。今まで見えなかったものが見え始め、わからなかったことがわかり始める第3章。登場人物たちの真の姿がいよいよ解き明かされていく。

■感想
成長したハリー。前作よりも明らかに体がでかくなっている。物語の成長度合いと実物の成長があってないような気がするのだが…。序盤はシリウスが刑務所を脱獄し、ハリーを狙っているという流れとなっている。

ヴォルデモートを倒したハリーは、常に狙われることになる。両親の仇ともいうべき存在のシリウスが迫る中で、ハリーは魔法省の恐怖から逃れることはできない。本作のポイントは間違いなくハーマイオニーが持つ逆転時計だろう。この効果は、物語の重要な要素となっている。

すでに毎回のことだが、新たな教授が物語の重要なカギを握ることになる。今回は闇の魔術に対する防御を教えるルーピンが、シリウスとの関係を最後に暴露している。ドラゴやロンなどおなじみの面々は成長し1巻のようなかわいらしい感じはなくなっている。

忍びの地図やオオカミ人間の存在など多種多様な要素がある。巨大な猛獣であるパックビーツがドラコを傷つけたことから、パックビーツはドラコの父親の策略で死刑の判決を受ける。ここで、パックビーツを誰かが助けるのかと思いきや…。逆転時計の流れがなければ悲しい物語となっていた。

シリウスとルーピンとの絡みでハリーとハーマイオニーが物語の核心に近づくのだが…。魔法省に狙われたシリウスに巻き込まれる形でハリーは死よりも苦しい吸血鬼の接吻を受けてしまうのだが…。ここで強烈な魔法を使う何者かに助けられるハリーとシリウス。

ハリーはこれを自分の父親だと錯覚するのだが…。この謎も逆転時計で判明するのが良い。ハリーは想像を絶する強力な魔法使いへと成長しているのだろう。ここからさらにどのような展開になるのか楽しみだ。

逆転時計のくだりは最高だ。



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